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最終話「四人の戦い」

 鷹地市西端。


「あれが例の竜巻か……」


 田園地帯で周囲の物を巻き上げながら移動する竜巻を遠目に視認しながら、レッドはつぶやいた。

 そばにはブルー、フラワーガール、インテンションもいる。


「何とかして、あの竜巻をどうにかしないとな……」


 ブルーが言った。


「こうなったらアレを使うしかないわね」

「アレ?」

「まさか……」


 インテンションの言葉にレッドとフラワーガールが反応する。


「多重積層結界魔法陣よ」

「やっぱり……でも今まで実際に使ったことはないのに大丈夫かな」

「それでも、他に方法はないわ」

「その多重何とかというのは何だい」


 ブルーが問いかけるとインテンションが、


「複数の魔法陣を三次元空間上に配置することによって、通常よりも強力な魔法を行使することができるの。それであの竜巻を封じ込めることができるはず」

「なるほど。それではよろしく頼む。その後のルードへのとどめは私とレッドに任せてくれ」

「それじゃあ、私とフラワーガールで魔法陣を描くわ。私は上二段を描くから、フラワーガール」は下二段を頼むわ」

「うん、わかった!」


 フラワーガールとインテンションはふわりと浮き上がって飛び立った。

 二人はステッキで光の軌跡を描いていく。直径四メートル程の円形の魔法陣だ。

 フラワーガールは地面と地面から五メートル程の高さの空間に。インテンションは地面から十メートルと十五メートル程の高さの空間に。

 上下二つの魔法陣を描き終えると、すぐに移動して次の魔法陣を描く。それらがルードの竜巻を大きく囲む正六角柱のように配置された。


「魔法陣を描き終わったわ! やるわよ、フラワーガール!」

「うん、先輩!」


 二人はお互いにうなずき合うと唱和した。


「「多重積層結界魔法陣、発動!」」


 二十四の光の魔法陣がより一層強く輝き、辺り一帯を光で包んだ。


「!」


 ルードの竜巻の動きが大きく乱れたかと思うと、不意に停止し、巻き上げられていた自然物や人工物がばらばらと地面に落ちた。


「やった!」


 レッドが快哉を叫ぶ。


「よし、今度は我々の番だ。行くぞ、レッド!」

「はい!」


 ブルーとレッドは黒い怪物のもとにダッシュした。


「るおおおお!」


 ルードは手に持った扇を振り回しているが、扇は反応しない。


「残念だったな! そいつは頼りになる女の子たちが封じさせてもらった!」


 レッドは叫ぶ。


「喰らえ! クラッシュアタック!」

「スラッシュアタック!」


 レッドとブルーは赤と青の光に包まれてルードに突撃した。


「るおおおお!」


 二人の攻撃を受け、ルードは光とともに消え去っていった。

 後にはマジックアイテムの扇だけが残された。




「片付いたようね」

「ああ、二人のおかげだ。ありがとう……って、どうしたんだ、その格好は!?」


 ブルーとレッドのもとにやってきた二人の少女の姿を見て、ブルーは驚いた。

 少女たちは派手な髪の毛、派手な魔法少女衣装ではなく、黒髪にブラウスとスカートという格好だった。


「多重積層結界魔法陣で魔力を大量消費したから、変身が解けたのよ。だから普段は使えないの」

「そうだったのか」


 だが、ブルー以上に驚いたのはレッドだった。


「れんげ!?」


 背の高い方の少女を見て驚愕する。

 彼女は宝田優斗(たからだゆうと)の幼馴染である河内(かわち)れんげだった。


「えっ、わたしを知ってる人……?」


 れんげ……先ほどまでフラワーガールだった少女は戸惑う。


「俺だよ、俺! ……装着解除!」


 レッドはその場でバトルスーツを解除して、宝田優斗の姿に戻った。


「優斗!?」


 今度はれんげが驚いた。


「何だ。二人は知り合いだったのか」


 ブルーが声をかけた。


「はい。幼馴染なんです。……あっ、すみません。勝手に正体を明かして」

「まあ、いいさ。魔法少女たちは協力者だし、彼女たちも素顔を明かしてくれたしな」

「はい」

「それじゃあ、一人だけ仲間外れというのも何だから……装着解除!」


 今度はブルーがバトルスーツを解除して、村上修也(むらかみしゅうや)の姿に戻った。


「それにしても、まさか優斗が変身ヒーローだったなんて……」

「それを言うなら、れんげが魔法少女だったことに驚きだよ」

「世の中狭いということだな」

「そうね。それでこれからどうする? お互いに素顔を明かしちゃったけど、協力体制は続けるの?」

「君たちが良ければ、こちらとしては続けたい」

「俺も同意見です」

「先輩、わたしもできれば続けたい」

「わかった。それじゃあ続けましょう。これからもよろしくね」

「こちらこそ、よろしく」


 インテンションだった少女がすっと右手を差し出した。

 その手を村上が握ると、れんげがその上に手を重ね、優斗もさらに手を重ねた。




 四人の戦いは続いていく。

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