第七話「敵の名は」
「クラッシュアタック!」
県立総合運動公園の駐車場。
レッドが必殺技を放つと、ルードは光とともに消え去った。
レッドのそばにブルーが歩み寄り、
「今回も無事に片付いたな」
「ええ、俺もそろそろ慣れてきました」
そんな会話をする二人の耳に第三者の声が響いた。
「いやまったく大したものだな」
「「!」」
声の方に二人が振り向くと、そこには黒ずくめの男が立っていた。
年の頃は三十代前半だろうか。猛禽類のように鋭い眼光の持ち主だ。
「毎度毎度、我々のルードを見事に撃退してくれる」
「我々のルード……? 何者だ、おまえは」
ブルーが問う。
「私の名はコジーク。君たちが超古代文明勢力と呼ぶゴストレアの幹部だ」
「幹部だと? おまえたちがルードを操っていたのか」
「そのとおりだ」
「で、その幹部が何の用だ」
「今日はただの挨拶だよ。君たちにはルードがいつも世話になっているからね」
そう言うとコジークは一礼して、
「では、さらば」
大きく手を振ると一陣の風が吹いた。
「「!」」
気がついたときには、レッドとブルーの前からコジークは姿を消していた。
「あれが、ルードたちの主……」
レッドが呟くとブルーも、
「ルードたちと違って、見た目は我々現生人類と変わらなかったな」
「そうですね」
「幹部が出張ってきたということは、奴らの侵攻も今まで以上に激しくなるのかもしれない。気を引き締めないとな」
「はい」
コジークがレッドたちの前に姿を現した翌日。
レッドとフラワーガールは公園のベンチに並んで座っていた。
レッドはフラワーガールに昨日のことを話す。
「……というわけなんだ」
「ゴストレアの幹部コジーク……同じやつかどうかはわからないけど、最近わたしたちのほうでも怪しい人を見かけたよ」
「そうなのか?」
「わたしたちがマジックアイテムを回収するのを、少し離れた所からじっと見てた。回収が終わったらいつの間にか姿を消してた。黒ずくめで、ただの野次馬にしては雰囲気が怪しかったから覚えてる」
「なるほど……出てきた時期からして、同じ奴なのかもしれないな。何かよからぬことを企んでいるのかもしれない。そっちも気をつけてくれ」
「うん、わかった」