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第三話「レッド」

 鷹地市(たかちし)は太平洋に面する地方都市である。

 優斗たちが通う鷹地北高校はその中央部に位置していた。

 優斗が初めてインテリジェント・ストーンやルードと出会ってから一週間後。


「亮、体のほうは大丈夫か?」

「うん。もう平気だよ」


 昼休み、昼食後の教室で優斗は亮に声をかけた。


「そうか。それは良かった」

「それにしても、僕たちを助けてくれたヒーローってどんな人だったの? 優斗は見たんだよね?」

「えーと、そうだな……赤かったよ」

「前からニュースで流れていた人は緑だったよね。その人とは違うのかな?」

「多分そうなんじゃないかな」

「話とかはしたの?」

「いや、怪物を倒したらすぐにどこかへ行ったよ」


 優斗は目を泳がせながら話していたが、


「それはそうと」


 話を変えた。


「俺、あの日の帰り道、魔法少女に会ったんだ」

「そうなの? そういえば魔法少女もしばらく前からネットで話題になってるよね。どんなふうに会ったの?」

「何か洗面器みたいなのに襲われたんだけど、その子が助けてくれたんだ」

「へえ。どんな子だった?」

「オレンジ色の服を着てて、髪もオレンジ色だった」

「さすが魔法少女だけあって、派手だね」

「そうだな」


 そこへ声をかけてきた人物がいた。


「魔法少女がどうしたの?」


 同じクラスのれんげだった。


「ああ。この前、道端で助けてもらったんだ。れんげも魔法少女に興味あるのか?」

「ま、まあね。最近話題になってるしね」


 優斗が尋ねると、今度はれんげが若干目を泳がせる。

 そんなこんなで話しているうちに昼休みは終わった。




「魔法少女? 私はまだ会ったことはないな。ネットである程度の情報ぐらいは知っているが」


 放課後、ヒーローズのオフィスで優斗が村上に魔法少女の話題を振ったら、そんな答えが返ってきた。


「ヒーローとかインストと関わりがあるわけじゃないんですね」

「そうだな。別系統の存在だ。ヒーローの相手はルード。魔法少女の相手はマジックアイテム。で、取り組む相手も違いますしな。インストもそう言っていなかったか?」

「はい。そんなことを言っていました」

「宝田くんから見て、魔法少女はどうだった?」

「何か、俺と同じくらいの年なのに頑張っているんだなって……それで俺も頑張ってみようと思って、ヒーローになることを決めたんです」

「そうか。それじゃあその魔法少女には感謝しないとな。彼女のお陰で私たちは新しい仲間を迎えることができたわけだから」

「何とかご期待に添えるように頑張ります」

「ところで話は変わるが」

「何ですか?」

「アルバイトとはいえ、宝田くんもヒーローとして活動する以上、コードネームが必要だ」

「コードネーム、ですか」

「私のブルーに相当する名前だな」


 オフィスの奥に座っている小川が声をかけた。


「村上くんがブルーだから、宝田くんはレッドでいいんじゃない?」

「少々安直だが……宝田くんはどうだ? それでいいか?」

「はい。俺は別にいいです」


 優斗が首肯(しゅこう)すると、小川が1枚の書類を手渡してきた。


「了解。じゃあ、宝田くん。この書類に必要事項を記入して提出してね」


 小川から書類を手渡された優斗は、言われたとおりに必要事項を記入する。

 こうして、ヒーロー・レッドとしての優斗の日々が始まった。

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