表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

第2話 出勤したら上司の様子がおかしい。


(白イルカ…今頃どうしてるかなあ)


 謎の白イルカのことが気になって、

 仕事が手につかない。


 そんな私の目の前に、どさり大量の物件情報が置かれる。


「!!」


「なにぼーっとしてるんだ!!今月も鳴川の売り上げ成績はビリ!!いつになったらノルマ達成できる!!」


「す、すいません…!!がんばります!」


 私は慌てて立ち上がり、頭を下げる。

 

「当然だ!!!」


 そう怒鳴り去っていく鬼の室長、御手洗一馬。


 室長が本社から異動してきたとき、間違えて「おてあらい」室長と呼んでしまって、すっごい怒られたことが記憶が新しい。


 正しくは「みたらい」なんだって。漢字って難しいね。

 

(営業成績が悪いのは私のせいだけど、相変わらず言い方がきっついなあ)


 書類の山を絶望的な気持ちで眺めていると、デスクに私の好物である煎餅が置かれる。


「青のり味…!!」

「それ、好きだよね?」


 そう言って微笑むのは、我が職場のマドンナ、星野涼香だ。


「ありがとうー!」


 涼香は同僚であり、大学からの友人だ。


 綺麗で、優しくて飾らない性格には憧れすら抱く。


「望ちゃんもさあ、涼香ちゃんを見習えよ~。仕事もできて、美人で気配り上手でさあ」

 

 私の隣の席のベテラン鏑木さん。

 恰幅の良いお腹を揺らして、今日も愉快そうに笑っている。


「あ、そうだ。望ちゃーん」


 涼香が自席に戻った後、鏑木さんが私に猫なで声で話してくる。


「この説明資料と見積やっといてー。チラシ作成もできるよね?あと、この後来客だからお茶出しよろしくね」


(えっ……!)


 どさりと置かれたファイルの束。

 自分の案件で手一杯なのに、こんなに…。


「……。はい!わかりました!」


 から元気で返事をすると、鏑木さんは「一服一服~」と言いながら出ていった。


(華麗なる仕事押し付け芸……)


 その時、私の視界の隅で、室長室に入ろうとした御手洗室長が、盛大にドアに足をぶつけていた。


「痛っ」


(……え?あの鬼の室長が!?)


 意外なすっとぼけシーンに目を丸くしたけど、

 「いや、それどころじゃない」と思い直した私は、すぐさま仕事に取り掛かった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ