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K

作者: 名無し

小説を初めて書くため、拙い部分もございますが、ご了承ください。

この作品は実話を元に書いております。

モデルは僕(名無し)自身。

読み切り作品となっております。

誰かの目に付いたのであれば幸いです。


2021年、某所。

彼の名はK。彼は双極性障害を患っていた。

Kの人生はありふれたものであったが、決して悪いものではなかった。

そんなKも大学3年生、そろそろ就職活動をしなければいけない時期に差し掛かっていた。

しかしKは就職活動をサボり、そしてとうとう学校にすら行かなくなった。

アルバイトと遊ぶ時以外は家に引きこもりがちという生活になり、Kは嫌気がさしている。

そこでKは思った。

「死にたい」と。

Kは次第に死を意識し始め、そして予定日も決めた。

2021年9月中旬。

新学期が始まるのと同時にKは死ぬことを決意した。

Kは夜が怖かった。

目を閉じると現れるのは得体の知れない、どこまでも大きくなる黒い影。そしてその巨大な黒い影はKのことを罵り、バカにする。

次第にKは夜に寝ることが出来なくなり、母親に相談した。

母親はすぐに、病院を調べあげ、紹介してくれた。

しかし病院での診療もあまり成果が出なかった。

診療の帰り、エレベーターに乗り、自分の住む階へ登る。

そしてエレベーターの戸が開くと、そこには光があった。

柵越しに刺すその光はまるでKを死に誘っているようだった。

母親は忙しい中、旅行に連れていってくれた。しかし彼の心は変わらない。

次第にKは自分が好きなことに興味を持てなくなった。

彼は死という甘美な毒に侵されていった。

現実のあらゆる苦痛から逃れる最後の手段。他の手段もあるはずだが、Kはただ楽に死ぬことばかりを考えていた。

友達との遊びも、仲のいい妹との交流も、母親の助言も、Kの心のスキマを埋めることは決してなかった。

朝が来た。

結局Kの考えは変わらず。自殺を決行しようとする。

勘づいた母が玄関で必死に止める。母は見たこともないくらい泣いていた。

しかしKの心には刺さったものの、Kは涙を流すことはなかった。

そしてKは優しい声で母親に言った。

「今まで育ててくれてありがとう。 あなたと過ごす21年間。本当に幸せだったよ。 じゃあね」と

その後、妹に連絡をする。

「今まで遊んでくれてありがとう。 こんな兄貴でごめんね。 俺の分まで生きてね。」と妹に言った。

妹はスマートフォン越しに「私の前から居なくならないで… お願い…」と言ったが、Kにはもう人の心がなかった。

「ごめんね。」最後に一言謝り連絡を断ち。彼は手紙を書いた。

そこにはKの苦悩、友への言葉、そして家族に対しての謝罪が書いてあった。

全てを終えたKは泣きじゃくった。

「みんな、今までありがとう。 さようなら」と言い残した。

そしてKはマンションの柵を乗り越え、身を乗り出し、光に呑まれていった。


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