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王妃様との秘密の会見

「毒殺......ですか......」


「そうよ、そんなありふれた手段が通用すると、私を甘く見ているのかしら? ただ、銀の食器に反応しない新しい毒物が使われたので、その点は調べさせているわ」


「毒殺がありふれているのですね......」


「今日のマキシミリアはおかしいわね、だからこそ魔法使いを私の身近に置いているのでしょう?」


私は震え上がる。

王妃様を魔法で守るなんて、私には絶対に不可能だ。

もし私が側にいる時に王妃様に何かあったら、私の責任問題になるらしい。


「今回はまだ証拠を掴めていないけれど、メリュジーヌの企みに違いないわ」


「メリュジーヌといえば、王の愛妾の?」


私が前の世界にいたときに、イザーク様は王と王妃の関係とか、王の何人もの愛妾の話をしてくれた。

その時は、私はお伽話として聞いていたけれど、それは実際の話だったのだ。


「マキシミリア、お黙り! 無礼よ! 私の前でなければ首が飛びますよ?」


「あっ、申し訳ございません......雷に打たれてから、記憶が......もちろん、無礼を働くつもりは毛頭ございません」


私は思わず床に正座して頭を下げる。

日本人の最大の謝罪の『土下座』だ。


「さっきからマキシミリアは変ね、やはり雷は敵の魔法使いの仕業かしら? 

もう良いわ......今日は下がって休みなさい」


私は急いで王妃様の部屋から出て、また侍女のオリガに導かれ、来た道を戻る。

自分の部屋に戻ると、まだ見知らぬ部屋ではあるけれど、ほっと安心する。


「オリガ、私は王妃様に何とお答えすれば良かったのでしょうか?」


「王妃様がお怒りになられたのは当然でございます。私もぞっと致しました。陛下をあのように言われるとは」


「王、と言わずに陛下と言うべきだったのですね?」


「もちろんでございます。そして、『メリュジーヌ様』とお呼びしなければなりません」


イザーク様の説明では、メリュジーヌ様は王都の劇場の歌姫だったはずだ。

彼女の豊満な体と溢れ出る色香に王様はすっかり魅了されて、貴族の養女にして身分を上げてから王宮に入れたのだ。


そして、メリュジーヌ様の侍女がリザベラなのだ。

イザーク様に抱きついて、イザーク様がマキシミリア様に封印される原因になったリザベラだ。


そういう背景がわかってくると、リザベラが何か意図を持ってイザーク様に近付いたのだとわかってくる。

イザーク様に警告しておいた方が良いのではないか。


「オリガ、急いでイザーク様にお話しなければならないのです。イザーク様を呼んでいただけますか?」


「はい、畏まりました。お着替えはなさいますか?」


「イザーク様に会うのに相応しい服に着替えさせてください」


私は白いドレスを脱がされ、煉瓦色のドレスに着替えさせられる。

これがお客様を迎える良いドレスなのだろう。


着替えると、寝室の隣の部屋に移る。

ここは大きなテーブルがあり、何脚もの椅子があるので、マキシミリア様の応接間らしい。


だいぶ時間が経ってから、イザーク様が部屋に入って来た。

私はイザーク様を見ると、嬉しくなって小走りに走り寄る。


ところが相変わらずイザーク様は微笑みもせず、私を見つめて戸惑うように足を止める。

一礼して私の手を取ると、礼儀のためだけ、とはっきりとわかる態度で指先にキスをする。


私と話す度にキスを望んだイザーク様はここにはいない。


「イザーク様、折り入って重大なお話があるのです」


魔王様の眉間に、はっきりと深いしわが寄る。

イザーク様が黙って手を振ると、後ろに控えていた従僕が部屋の外に出て行く。


私はイザーク様に近寄って、ヒソヒソ声で話す。


「さっき、王妃様にお会いして来たのです。王妃様は食事に毒を盛られたそうですが、イザーク様はご存知ですか?」


イザーク様を見上げると、黒と青のオッドアイが輝きを増す。

わずかに頷いたのは、既に知っているということだろう。


「王妃様はメリュジーヌ様をお疑いのようですが、イザーク様は侍女のリザベラ様にもご注意ください。何かを企んでいると思います」


イザーク様は、驚いて大きく目を見開いた。


「何を知っているのだ、マキシミリア? 誰から聞いたのだ?」


「それは......言えません......」


もちろん、私はイザーク様から聞いたのだ。

そう言っても信じてはもらえないだろう。


「今、こちらでも極秘で調べている所だ、私の他に誰にも漏らしていないだろうな、マキシミリア?」


イザーク様は私に詰め寄る。

オッドアイが酷薄な色を深めて、私を凝視する。

怖い、こんな怖いイザーク様は初めてだ。


「誰にも話していません、イザーク様」


イザーク様は、マキシミリア様を愛していると言っていたじゃないか。

これは愛している態度ではない。


「イザーク様の言葉が怖いです。いつもこんな話し方なのでしょうか?

イザーク様は、マキシミリア様を愛していると、言っていたじゃないですか」


「......なんだと!......お前は誰だ!」




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