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転生悪役お嬢様は諦めている  作者: 雪菊


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※今回は中〜高校入学前までのダイジェスト版でお送りしております。



中学生になった薫子は、結構な数の手駒を手に入れていた。少しずつ少しずつ、紡いでいった縁。

厄介なものもあるが、それは薫子が幼馴染たちを守るために用意していたものだった……が。椿のクソデカ感情を受けて、絆されてゆっくりとではあるがきっちり恋というものを知っていった薫子は椿のために自分の保身も考えるようになった。


椿はというと中学生活を通して薫子に隠れてこっそりあれこれ動くのが上手くなっていた。彼らが思うよりも薫子は狙われていたので、仕方がなしに、という面は多い。

溺れるくらいに愛を囁かないと通じない事を知っているので実行した結果、婚約者兼可愛い恋人となったのでそれなりに満足している。

しかし、薫子の周囲が狂気を隠した過激派か穏健派の真っ二つに分かれているのを見て溜息は吐きたくなっている。

自分という相手がいてもなお、狂おしいほどに彼女を求める人間たちにはいい加減にして欲しいという気持ちでいっぱいである。


幼馴染はセーフだ。心強いとすら思っている。諾子以外はもう少し身の振り方を考えろと真面目に思っている。


当の諾子だが、彼女の元にやってくる見合いの申し入れは増えた。

本人は「薫ちゃんが良いって言ったら付き合っても良いけど」なんて言っているが、薫子がほとんどお断りを入れている。柏木家に申し入れをしたのに春宮からお断りが来て面食らう人間もそれなりにいる。薫子は依然として過保護だった。

ちなみに兎月はまだ告白すらできていない。薫子に「ねぇ、どうするの?」と威圧をかけられるようになってきた。


そんな彼らももうすぐ高校生になる。

縁側に座って空を見上げながら、薫子はそっと未来に想いを馳せた。



(しききみが、始まる)



調査したところによると、嵐山と名を変えた舞香の入学が決まったらしい。前年に彼女の義兄も入学している。こちらに接触を図ってきている。諾子が欲しいなんて言ってきているが、正直チャラいし、京都は遠いので断った。諾子自身が熱を上げているのなら仕方がないが、自分以上に彼女を思う人間でない限りお嫁には出したくありませんと強く思っている。



(今のところ強制力は見られず、冬河くんは孤高?何それ?って感じ。夏目くんは…葉月さんにべったりだし、秋月くんは根暗どころか根明。なんでこんなに変わったのかしら)



少しだけ疑問を感じながらも、まぁいいかと思いながら、もう一人の男の存在を思い出す。


──四季神円。

何をやっているかなんて興味はないけれど、結果として火の粉が降りかかるのならばと仕方なく調べた。

結果、舞香の薫子への悪感情を煽りながら彼女へ甘い言葉を囁いているようだ。しかし、好きとか愛とか、そんな言葉は一切使っていないというのだからやり方がいやらしい。舞香が何か言えば、「僕がいつそんな事を言ったのかな」なんて言って切り離すこともできる。



「薫さん、どうしたんですか?まだ寒いんですから、もう一枚何か羽織ってください。あなたが苦しむのが、俺には一番辛い」



自分の上着をかけてくる椿の行動で、ようやく寒さを自覚したようにくしゃみをすると、彼は慌てたように薫子を横抱きにして部屋へと運ぶ。

そんな椿を見上げて薫子はくすくすと笑う。不服そうに自分を見下ろす椿へと触れて、頬に唇を寄せた。



「か…っおるさん、いきなりはやめてください…!落としたらどうするんですか!?」


「まぁ。椿さんはそんなことしないわ」



驚いた椿が真っ赤になりながら抗議をすると、薫子は瞳をまんまるにして、それから満面の笑みでそう答えた。


そんな様子を見ながら薫子は、やっぱりゲームと同じ時間になっても大丈夫な気がする、と椿の手を握るのだった。

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