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転生悪役お嬢様は諦めている  作者: 雪菊


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兎月が転入してきたことで一層騒がしくなった薫子の周囲だが、薫子自身は賑やかで楽しいとか、椿と仲良くなってくれて嬉しいと思いながらのんびり見ている。


相変わらずどこかおっとりとした薫子はクラスでも周囲に取り巻きができているが、やはり葉月以外はたまに入れ替わる。葉月にマウントを取ろうとすると追い出される。


一方で、薫子が大人しいことをいいことに数名は自身の派閥を作るようになっていった。薫子は「特に気にすることもない」と放置気味ではあるが、それに困っているのは雪哉と朔夜である。


椿はもちろんだが、兎月も薫子の従兄弟で仲がいい。諒太は関わりの薄い女生徒とはほとんど交流を絶っている。薫子が恋愛に関しては何も言わないことを「春宮のお手付きでないのなら」という理解の元で諒太に猛アタックをかけた女生徒は少なくない。歳を追うごとに冷ややかになっていく諒太。あしらい方を覚えるどころか、女性不信になりつつある。気遣う葉月のような子がそばにいるからこそ踏みとどまっている。


春宮家と身内に手を出されると流石に怒る薫子、本気で自分たちを疎ましく思い始めている諒太を避けた結果として、雪哉と朔夜は女性人気を二分することとなっていった。



「まぁ、椿ならともかくとしてゆきりんの女避けしてあげるのもなんか違うしね」



そんなことを言う諾子もまた男子生徒に割と付き纏いを受けている。

薫子を狙うための足掛かりとして諾子を使おうと思っている人間もいるし、彼女自身が美しい容貌をしている。薫子と少し距離が空いたと思っているからこそ彼女に近づく人間も少なくない。

最も、三年生までに薫子と諾子が世話を焼いてきた女生徒たちが周囲にいるためなかなか近づけてはいないが。日頃の行いというものである。



「何はともあれ、薫ちゃんは大丈夫?なんか何人か大きな顔で闊歩し始めてるけど」


「こちらにはまだ何の影響もないもの。けれど、可愛いあなたに何かあってはいけないわ。妙なことを言われたら教えてね」



大したことがないのに祖父母を頼るつもりはないけれど、何か危害が及ぶようなら頼らなくてはいけない。放っておくと余計に事態が悪化することもある。

特に学園内のことは自分でしっかり報告をしないと保護者はなかなか知りようがないことも多い。



「あは、可愛いってもう。薫ちゃんじゃないんだし」


「諾子さんは可愛いわ?」



そっと諾子の頬に手を伸ばして心配そうに彼女を見つめる。そんな薫子に思わず諾子は頬を染める。



「だから、ね?」



近づいた顔、額同士がこつんと軽く当たる。少し目線を逸らした諾子が「うん」と呟くと、薫子はホッとしたように離れた。

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