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転生悪役お嬢様は諦めている  作者: 雪菊


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4年生になったと同時にクラス替え。

しかも珍しく転入生も入ってきた。



時透(ときとう)兎月です。よろしくお願いします」



にっこりと笑ってみせた少年は“元”有栖川兎月である。

薫子の叔父は有栖川と手を切るためにわざわざ一度離婚して、婿養子になった。

兎月は母方の時透が春宮と縁があるので割と頻繁に薫子の家に遊びにきていた。その時に薫子が彼に聞いた話では、鑑はあまりにも有栖川が無理すぎて話し合いに来ようとした当主と自身の兄(薫子の父)に思い切り塩を撒いていたそうだ。色々と我慢していたのにぷつんときてしまったのだろう。


基本的には定員が埋まればそれ以降の募集がない白峰学園だが、薫子の学年はやらかし転校が何件かあったので彼は試験に通過して入ることに成功した。

受験内容は難しいため転入できる人間も少ない。なので、兎月は奇跡だという扱いをされた。


彼にしてみれば舞香に割く時間がなくなったため勉強できる時間も増え、彼ら自身に軋轢はないので有栖川の関係者といえど忖度もされなかったので奇跡と言われるほどのことではないなと思っている。



「ついにこんな所まで…!」


「まぁ、前の学校からは絶対に転校させるって母様が張り切ってたからな」



この度は同じクラスになれた椿が憎々しげにそう言うと兎月は肩を竦めてそう言った。

舞香は盛大に悔しがっていたし代われとかなんとか騒いでいたらしいが、兎月は鼻で笑って黙らせていた。

そもそも有栖川は今そんなことしている暇はない。春宮どころか、ほかの幾つかの家から突き上げを食らっているところだろう。



「あの馬鹿が悔しがってた姿は見ものだったよ?」


「それは俺も見たかったところですね。きっと気分がスッキリするでしょうし」



舞香の様子を聞いた椿はそれはそれは楽しそうに笑った。その姿すら美しいのだから、級友は感嘆の息を吐く。

それを薫子の隣で聞いていた葉月は「なんだか怖いね」と呟くと、薫子もそれに頷いた。二人が揃うとたまに物騒っぽい話をしている。共に舞香の被害者であるが故だ。

だが、その全容を言うような二人ではなかったのでその内容の全てを薫子は知らない。


今回は諾子が違うクラスになっていて、諒太と葉月がそのまま同じクラスだ。

朔夜も同じクラスだが、彼は諒太と一緒にいる時以外は基本的に女の子に囲まれている。



「一人くらいこういうのがいないと、過激なやつが出るんだよ」



朔夜は「胃が痛い!」と言いながら軟派な美少年を演じきっている。

諒太は少し申し訳ない気分になっているが、同じようにはできないとも思う。諒太が基本的に積極的に関わってくる女の子が苦手なので、朔夜が諒太と一緒の時は近づかないというのも不文律となっている。



「残念だったね、ゆきりん」


「変な渾名をつけるな、柏木!!」


「私たちだけこっちだよ!悲しいね、ゆきりん!!」


「呼ぶなと言ってるだろう柏木ぃ!!」



一方で同じクラスになった諾子と雪哉。

悲しむ間もなく弄られている。

薫子がいないと止める人がいない。

しかし、女子が近づくと威嚇してくる冬河雪哉が意外と親しみやすいんじゃないか、と男子は割と親近感を持つ。二人のやり取りをきっかけとして、雪哉は白桜会以外での同性の友人が増えることとなった。

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