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転生悪役お嬢様は諦めている  作者: 雪菊


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連載再開。




秋には体育大会がある。そのため、夏休みが終わった二学期から少しずつ演目の練習が始まった。

1年生はポンポンを使ったダンスやかけっこ、玉入れなどに参加する。


この年のダンスのためだけに子供達用のマーチング衣装まで作っている。白のベレー帽に水色の揃いの衣装はそれなりにお金がかかっている。

体操服にポンポンを持ち、飾りをつけるくらいだと思っていた薫子(かおるこ)はその規模に少し驚いた。そして、諾子(なぎこ)によく似合うだろうと考えてにっこりした。


とはいえ、練習の間はもちろん体操服である。

ポンポンを持った薫子と諾子、諒太(りょうた)は周囲の視線をガンガン集めた。容姿が整っている三人が集まっていると、自然とそちらへと目線が向かっているというだけで特に何かをしているわけではない。真面目に練習はしているけれど。

夏休みもプールで遊んでいるうちに体調が悪い日が少なくなってきたらしい諒太は、まだ体育大会の練習を休んだことはない。彼の見守りをしているのは夏目家の使用人であり、家族は弟に夢中である。彼は家族も知らぬうちにひっそりと元気になりつつあった。



薫子はハイスペックだったので、特に苦労はしなかった。諾子も運動が得意だったので全然苦労しなかった。

葉月は逆に運動が苦手だった。

すぐ転ぶし、簡単だと周囲が言っていても覚えるのに時間はかかるし、足は遅かった。正直、体育とか嫌いである。親にも見にきて欲しくない。周囲が葉月を馬鹿にして煽るので余計に嫌いになりつつあった。



「体育大会にさえ間に合えば良いの。一緒にゆっくり練習しましょう」



葉月はのんびりとそう言う薫子と毎日練習することになった。

薫子は自分の友人は大事にするタイプだった。あと、馬鹿にした人間の顔は割としっかり把握していたので彼女たちは今後「ご学友」だなんて呼ばれることはないだろう。



(多分、私のことが嫌いで葉月さんで鬱憤を晴らそうとしている方もいるわねぇ)



椿や諒太、雪哉と仲が良くて睨まれているのは知っているが、彼らだって鬼でも悪魔でもないのだ。行動を改めれば相手くらいしてもらえるのである。それを怠って身勝手に動いておいて嫌われたり八つ当たりを食らうのは割りに合わない。

薫子はそんな事を考えながら溜息を吐いた。その様子に怯えるように薫子を見る葉月。



「ごめんなさい。葉月さんに何か思うところがあるわけではないの」



薫子はそう言って一瞬だけ、そっと目線をある一団へと向けると葉月は苦笑した。

葉月だって椿たちと話すことはある。だが、彼らは至って普通に接している。それを見ているから彼女たちは葉月も気に食わないようだ。



「ううん。私も、ごめんなさい」



薫子が自分を簡単に嫌うはずないのに、怯えてしまった。そのことに葉月は少しの罪悪感を覚えた。それをどう表現していいのかわからなかったのでごめんなさいとだけ告げたけれど、特に気にしていなかった薫子は「なんで謝られたのかしら」と首を傾げた。



「薫子ちゃん。私、がんばる」



そう言ってポンポンをぎゅっと握りしめた葉月は、薫子と一緒にダンスの練習を始めた。

自分のせいで悪意ある連中に足を引っ張られることは避けたいと気合を入れ直した。

足を引っ張られても物騒セコムがたくさんいるのは知っているけれど、お友達にはいつも笑顔でいてほしい。


覚えるのに時間はかかったけれど、サボりがちな彼女たちよりも葉月の方が目当ての男子たちの評価が高いことに気がつくのは何もかもが終わった後のことである。

またこちらを少しずつ投稿していきたいと思います。よろしくお願い致します。

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