表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
120/122

120



誰につくかと言われれば三人娘はこう答える。



「私たちを多少なりとも友人だと思ってくれてる薫子様一択」



彼女たちは四季神等に人間扱いされているという感じがしなかった。あくまでも薫子のおまけ、取り巻き。そういった感じである。椿もそういうところがないとは言わないが、薫子が割と「お友達」と明言してくれているためか比較的態度はマシだ。椿は薫子が大切にしているものはしっかり守る。


そんなわけで、あかりも静香も梓も四季神に従うわけがなかった。


誑かそうにも「舞香さんがいらっしゃるではありませんか」と三人ともが口を揃える。

円が三人に何かしようと思えば、春宮関連の怖い人が暗闇からこんにちはする羽目になった。

四季神内部の人間はほとんどが手をひき、持ち直した環と本性を垣間見せる周についた。

円はほぼ詰んでいた。



「一番後ろにいる人物に気付いてないあたりがねぇ?」



あかりがそう言うと、他の二人も頷いた。

薫子の側にいるからとガッツリ磨き上げられた容姿と所作。元々家柄はしっかりしているためか、今は彼女たちも十分に男女問わず人の視線を集めるタイプになっていた。当の本人たちは目立つのが嫌いなのだけれど。



「恋なんて夢みたいなものだから仕方がないよね」



痘痕(あばた)(えくぼ)

四季神円が薫子を見る視線にそんな言葉を思い浮かべた。彼は自分達に構う前にもう少し周囲を見ておくべきじゃないかな、とか思ってもいる。


舞香は良く働いた。

下品にならない程度の匂わせも非常に上手くできていた。

上流階級では、彼はもう舞香と結ばれるものだと思っているものも多い。

夢を手に入れるためには、現実を掌握せねばならないときちんと気がついているのは舞香の方だろう。もはや執着にも思えるあたりが恐ろしいが。


あまり知られていないが、彼女たちにもバッチリ婚約者ができているし、薫子がなぜか好みぴったりの人間を見つけてきた。



「薫子様って、お見合いを成功させる才能がお有りなのかしら?」



静香がそう言うと他二人もなんとも言えない顔をした。

ちなみに梓が真っ先に声をかけられたのだが、その理由が「(おぼろ)さんがどうしても八重垣くんが良いって言うの」という本当に何とも言いづらいものだった。朧というのは十六夜紀行の妹だ。花弥といることが多い少女だが、おとなしそうな見た目に反して、肉食系女子である。幼い時から目をつけて距離を詰めていた八雲がころっと梓に転んだのを見ながらずっと「どうやってこっちに戻って来させるか」を考えていた。



「朧さんってば、意外と過激だから」



そこが可愛いのだけれどと言う薫子がすすめてきたのが彼女の兄だというのもなんだかおかしな話だけれど、確かに十六夜紀行は梓の好みだった。

短く刈り上げた短髪に、バランス良くついた筋肉。人好きのする笑みに、梓を気遣ってくれるその態度。めちゃくちゃ好みだった。

ちょっとだけ八雲が可哀想に思ったけれど、そうなってみたらみたでなんだかしっくりくるような関係性を築いていた。


そんなわけで取り込まれた三人の少女たちはきっちりと薫子に報告を入れる。報告をきっちりしておけば椿が嬉々として動くのを知っている。

三人にとっても、薫子はたまにちょっと抜けている可愛いおともだちなのだ。いや、可愛いと言うには些か恐ろしいが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ