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アベレージヒッター~平凡な俺の異世界生活~  作者: 勝地瑛星
第2章 ファーストクエスト
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1.知らない天井

「知らない天井だ」

 人生で1度は言ってみたい台詞が言えた。実際、都会暮らしの俺にとって木造の天井は初めて見る天井である。つまり、昨日のあれは夢では無かった様だ。異世界生活2日目の始まり。昨日、どうやって寝たのか思い出せない……絶品料理を食べて、それから……あっ。


「23にもなって酔いつぶれるとか、情けなすぎるだろ俺……」

 自分の行いを反省し、眠い目を擦りながら起床。意外としっかりとしたベッドだったのでぐっすり眠れた。部屋を出るとすぐ左側に階段があった。恐らくここは昨日の酒場の上の階なのだろう。


  1階に降りると昨日の女将がカウンターにいた。


「おはようさん、ぐっすり眠れたかい?」


「ああ、おかげさまで。ところで、昨日俺が酔いつぶれたあと、女将さんが部屋まで運んでくれたのか?そうだとしたら本当にありがとう。昨日の食事代と宿泊料を払わせて欲しい」


「ああ、それなら私じゃないよ。一緒にいた金髪のお嬢ちゃんが部屋まで運んでくれたし、食事代と宿泊料もしっかり貰ってるよ。お礼ならそのお嬢ちゃんに言うんだね」


  「そ、そうか……」

 酒に酔って気絶し、部屋まで運んでもらい、食事代と宿泊料まで払ってもらうなんて男として本当に情けない。しっかりとお礼を言って恩返しをしなければ。


 身支度を整え、女将に再びお礼を言って宿屋を後にする。さてと、昨日クレアと行くと約束した教会だが、場所を聞いておくのを忘れた。あ、でもギルドに行けばクレアがいるかもしれない。とりあえず向かってみるか。


 ギルド「銀の盾」は町の中心部にあるため、迷わず直ぐに行くことが出来た。一際目立つ大きな建物は歴戦の戦士っぽい顔つきの人達が出入りしている。昨日のような珍奇の目で見られてはいないが、行き交う冒険者と目が合うとつい逸らしてしまう程迫力がある。クレアは本当にここで依頼を受けているのだろうか。


 緊張しながらギルドの扉を開けた。ギルド内は昨日の酒場に似た作りで、テーブル席とカウンター席が設置されており、テーブル席には先程の戦士のような人達や、三角の帽子やローブを着た如何にも魔法使いみたいな人達、重そうな鎧を着た騎士のような人達など様々な人が集まっている。カウンターではギルドの制服だろうか、同じ服を着た人が並んでいる。恐らく、あの人達は「受付嬢」だろう。


「1つ聞きたいことがあるんだが、いいか?」

  受付嬢の1人に尋ねた。


「はい、なんでしょうか?」


  「今日、クレアという冒険者は来ているか? ストレートヘアーで金髪。あと、美少女の」


  「もしかして、A級冒険者のクレアさんですか?」


  「ああ、多分そのクレアだ」


「お知り合いの方ですか?」


「まあな、知った顔という感じだ」


「おいおい、兄ちゃん。あのクレア様と知り合いなんだって?」

 テーブル席に座っていた1人の冒険者が割り込んできた。いくつも死線を乗り越えてきたっぽい目をしている。というか、顔が超怖い。ただ、ここでビビっていたら舐められてしまう。逃げ出したくなる気持ちを必死に堪えて答えた。


「ああ、そうだが。何か問題でもあるのか?」


「問題だぁ? 俺は忠告してやろうとしただけだ」


「忠告だって?」


「ああ、あの気高きA級のクレア様はな、1人がお好きなんだそうだ。だから、もしあいつとクエストに行っても1人で全部解決しちまって、お前は置いていかれるに違いない。想像してみろ? 魔物がうじゃうじゃいる森でお前さんは一人ぼっちだ。それなのにあいつは涼しい顔で次のクエストを受ける。悪いことは言わない、あいつと関わるのは止めておけ。さもないと……」


「ショウタ?」


 振り向くとそこにはクレアがいた。心配そうな目でこちらを見ている。


  「あの、えっと、これはだな……」


「ちょっと来なさい!」

 クレアにギルドの外まで連れて行かれる。


「朝、宿屋まで迎えに行ったのにいないと思ったらなんでギルドに来ているの?」


「えっと、教会の場所が分からなかったからギルドに行けば会えるかなって思って。まずかったか?」


「はぁ……教会の場所を教えてなかった私も悪かったけれど勝手に行動するショウタもショウタよ。1人だとああいう態度が悪い人達に絡まれるの。今度からは勝手に1人でギルドには行かないこと。分かった?」


「ああ、悪かった。今度からは気をつけるよ」


「分かればいいのよ。」


「そういえば、昨日は本当にすまなかった。酔い潰れた上に部屋に運んでもらってしかも食事代と宿代まで払ってもらって。待っててくれ、金を出すから。全部でいくらだった?」


「別に要らないわ。早く忠告しなかった私も悪かったし。それにお代だって元々私が払うって約束してた訳だし、宿代はオマケみたいなもんよ」


「で、でもだな……」


「要らないって言ったら要らないの。人の好意は素直に受け取りなさいって!」


「はい……」

  クレアの気迫に押されてしまった。


「よろしい。それじゃあ教会に行きましょう」


 先程の冒険者の話を思い出す。昨日会ったばかりの他人にここまでしてくれる子が俺を置いてけぼりにするなんてことがあるか?ありえない、何かの間違いだろう。


 何度も誓っているが、この子には必ず恩返しをしよう。いつか特大の恩返しを。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。

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また、誤字脱字等ございましたら、報告していただけると幸いです。


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