3.森へ
うっそうと生い茂る森林の前で俺は深く深呼吸した。得体のしれない世界で先が見えない未開の地に足を踏み入れるには心の準備が必要だ。数回の深呼吸を終え、いよいよ森へと足を踏み入れる。小鳥のさえずりと風に揺らされた草木がざわざわと音を立てる。良かった、普通の森と変わった所は無い。俺は安堵し、目的の水を得るため沢を探した。
しばらくして、小さな沢を発見。俺は両手で水をすくい口に運んだが、飲む直前でふと思った。この水、飲んでも大丈夫な水なのだろうか?前に本で飲める水と飲めない水の判断の仕方があったような……。残念ながら俺の平均学力ではそんな豆知識は持ち合わせていない。と考え事をしていると、すぐ近くに動物らしき気配。
体長5メートルはある巨体に鋭い爪。長くて毛むくじゃらな体毛に大きい口。熊だ。しかも超でかい。どうやら水を飲んでいるご様子。「あ、貴方も水を飲みに?」などと心の中で呟いていると、熊とばっちり目が合った。熊はゆっくりと飲水を止め、こちらにロックオン。えーっと、こういう時はどうすればいいんだ? 死んだふり、は確かダメだって偉い人が言ってた気がする。対処法が分からないのでとりあえずゆっくりと距離を空ける。熊はこちらの様子を伺っている。
20メートルほど距離を離し、そろそろ逃げようと熊に背を向けたのがまずかった。熊はウサインボルトよろしく、凄まじいスピードで俺に向かって猛ダッシュ。あっという間に追いつかれ、熊が右手を振り下ろす。俺は咄嗟に身を屈めた。熊の右手は俺の目の前の大木にクリーンヒットし、メキメキと音を立てながら倒れた。なんだこれ、無理ゲーにもほどがあるだろ。
さっき屈んでいなかったら、俺の上半身は吹っ飛んでいただろう。俺は恐怖心に苛まれ、腰が砕けて立てなくなった。俺は為す術なく、倒れた大木に後退り、熊はしっかりと俺に狙いを定めて両手を振りかざす。
「俺の人生終わった……」頭の中で元いた世界での体験が走馬灯のように駆け巡った。
最後は華々しく散ろうと目をゆっくりと閉じ、死を受け入れる覚悟を決めた瞬間、
「グオオオォォォォォォォォ」
辺りに俺のうめき声、ではなく熊のうめき声が響き渡った。ゆっくりと目を見開くと目の前にいたのはお伽噺のヒロインが飛び出してきたような金髪美少女だった。
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