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アベレージヒッター~平凡な俺の異世界生活~  作者: 勝地瑛星
第2章 ファーストクエスト
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8.生還

 森を出発してから20分程で王都に着いた。ルサンは商人証を持っていたらしく、すんなりと王都に入れた。


「さあ、着きましたよ。ギルドの前でよろしかったですか?」


「ああ、さっきの魔物が出たことを報告するってクレアが言ってたしな。ほら、クレア着いたぞ」

 熟睡しているクレアの肩を揺すって起こす。一度眠ったら中々起きない様で、起こすまでに時間がかかった。


「んー、いつの間にか寝ちゃってたわ。あ、ちゃんとギルドの前で停めてくれたのね、ありがとう。じゃあちょっと報告してくるわね、すぐ戻るからショウタはここで待ってて?」

 そう言ってクレアはそそくさとギルドへ消えていった。眠りは深いが、寝起きは良いってことなのだろうか。


 馬車に残された俺はルサンにこんな質問をしてみる。


「そういえば、ルサンはこの街に何をしに来たんだ? この国は結構栄えているみたいだし、ここで商売をするとか?」


「はい、それもありますが……」


 そう言ってルサンは周りをキョロキョロと見回し、人差し指をチョイチョイと動かして見せた。耳を貸せ、という事なのだろう。ルサンのパーソナルスペースに少しお邪魔する。


「実はですね、異世界の服が今度のオークションに出品されるという情報を裏ルートで入手しまして。商人としては見逃せないという事で大急ぎで参上した次第です。ただ、急ぐあまりいつもは使っていない森に入ってしまい、そこで襲われたんです」


「え、それってまさか……」

 と言いかけた所で

 

「お待たせ。何話してたの?」

 報告を済ませたクレアが戻ってきた。満足気な彼女の手には小さな袋があった。


「お帰り、大したことじゃないよ。その袋は?」


「そうなの? あ、これはね、採取の報酬とさっきの魔物の報告料よ。ギルドが正式に調査を終えるまで話しちゃいけないっていう口止め料も含まれてるわね」


「なるほど、じゃあしばらくは誰にも言わない方が良いんだな」


「ええ、その方が賢明ね。それで、ルサンには悪いのだけれど……」


「分かっておりますとも。こう見えても私、口は固いのです。商人は信用が何よりも大事てすからね。むやみやたらに人に話すことは致しません」

 そう言ったルサンは胸に拳をドンと当てていた。さっきあんなにあっさり自分の秘密を暴露していたが、大丈夫か? 若干不安があるがここはルサンの言葉を信じてみることにしよう。


「それでは、私はこれで失礼致します。しばらくは王都に滞在するつもりですので、またどこかでお会いしましたら、その時はまた改めてお礼をさせて下さいませ。では、お二人に女神様の祝福があらん事を!」


 こうして波乱の初クエストが完了した。正直、チュートリアルにしてはハードすぎる内容だったが、クレアと正式にパーティーを組むことが出来たし結果オーライだろう。もっとも、今回みたいなのが続いたら命がいくつあっても足りない。安心安全なクエストで地道に稼いでいこう。うん、それがいい。固い決意を胸に宿屋へと向かった。


「はい、これ」


 宿屋に着いた途端、クレアが小包を渡してきた。


「これってさっきの報酬か? なんか多い気がするぞ」


  「さっきも言ったでしょう? それは情報料があるからよ」


  「あ、そうか。でも俺は何もしてないし、採取の分だけ貰うよ」

 やったことと言えばルサンと逃げて、魔物の前で勝手に動いて、気絶したぐらいだ。

 

「そんな訳にはいかないわ。あなたもあの魔物を見たから口止め料を貰う権利はあるし、それに……」


  「それに?」


  「今回は本当にあなたに助けられた。いえ、貴方がいなければ私は死んでいたかもしれない。あの時あなたに守ってもらってその……う、嬉しかったの。誰かに守られるって久しぶりだったから」

 いつもの凛々しいクレアとは打って変わって、その表情には恥じらいが見られた。やっぱり恥ずかしがっているクレアも可愛い。


  「と、とにかく! お願いだから受け取って? ね?」


「う……分かったよ。有難く頂くよ」

 受け取った小袋には銀貨が5枚、金貨が2枚入っていた。日本円にして2万5000円を1日で稼いだことになる。恐らく、銀貨は採取の報酬で、金貨は口止め料だろう。口止め料がプラスされたとはいえ、初めてにしては結構稼いだ方じゃないか? 学生の頃にしていたアルバイト代3、4日分はあると思う。よし、これは無駄遣いせずにしっかりと貯めておいて明日も働いて稼いでいこう。


「それじゃあ、また明日ね。ここに迎えに来るから」


「分かった、じゃあ明日な」


「あ、そうだ。その怪我、今日は遅いから明日マリアさんに診てもらいましょう。マリアさんの回復魔法はとにかく凄いからすぐ治ると思うわ。それまで大人しくしておくこと。あとお酒も飲んじゃ駄目よ、傷が悪化するかもしれないから」


「はーい。今日は大人しく寝るとするよ。また明日な」


 クレアに別れを告げ、宿屋に入る。女将さんに昨日と同じ部屋を用意して貰い、ベッドに横たわるとすぐに瞼が重くなるのを感じた。今日は、色々ありすぎてドッと疲れた。明日もクレアとクエストに行こう。しかも次は正式なパーティーとして。無事に帰れた安心感からなのか、身体的な疲労感からなのかは分からないが、目を閉じると深い眠りに落ちていくのを感じた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。

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また、誤字脱字等ございましたら、報告していただけると幸いです。


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