下ネタのライン
前回のあらすじ
元男が女湯に行くのは有りですか?
つまり私は、ち◯こを見たくなかったし、見られたくなかったんだ。
いや勿論、外で遊ばない白い肌+豚みたいな丸腹の組み合わせも嫌だったけど。 天然パーマだからってワカメちゃんとか、主食カレーなんやろ?とか言ってくる同級生がいたからもあるけどよ。
女湯に来てやっと理解できた、私はち◯こが恥ずかしかったんだ。
そりゃ銭湯なんぞ興味はあっても行く気になれないわ。 みんな隠す気もなくぶら下げてんだもん。
私なんてずっとタオルで隠してたぞ。 歩く時は必ず。 風呂から上がる時は誰も居ない方向に体を向けてまで。
その点どうだ、女湯は。
今世初女湯への扉を潜った先で目にしたのは、体を洗っている大人なお姉さん、サウナチェアみたいな椅子で涼むオバちゃん達、お風呂で談笑する母娘。 もちろんアニメみたいなモザイクや濃すぎる湯気、謎の光なんて現象は一切無い。
そんなことよりも印象に残ったのは、石鹸のであろう香油の芳しい香りと、肌に触れる一層濃い湿気、人肌より少し温かい浴室内の空気だった。
てか思ってたよりも広かった。 湯船も3つ+水風呂らしき小さいのまで確認できたし。 壁際にサウナチェアっぽいのも6脚並んでて。 奥のあの扉はマジでサウナだったりする?
足元は石かと思ったらタイル。 でも濡れているのにつるつるとはしておらず、足裏でキュッと摩擦を感じた。
なんだろうここ、雰囲気が私の知ってる銭湯じゃない。 まるで旅館の温泉みたい。
せっかくの女湯だというのに……特におっぱい星人でも尻フェチでもないからなのか? なんとも落ち着ける癒し空間でしかなかった。
むしろ、ホッとした。
乳首? んなもん前世の漫画と今世のお母さんで慣れたわ。 母乳飲むのに抵抗があったのは……ほら、見慣れてるのと口に含むのは別問題でしょ?
その点、陰部は漫画キャラですら隠されているのだから、『見て良い物ではない』という認識から、あの恥ずかしさに繋がっていたのだろう。
裸婦画は見れるのにダビデ像は苦手なのって、このせいだったのか。
「シトルちゃん、痛くない?」
(いやだから誰よその女)
私と同じく、隣で背中をアワアワのタオルでゴシゴシされているイチゴ髪ちゃんに話しかけられ、返答に困り「ないっ」とだけに止める。
見るのはセーフでも、接触は別問題なんですが?! な心境なので素っ気ない態度は許してほしい。
女児で良かった。 シャワー終わってもタオル無しじゃ歩けなくなる所だったわ。
現在私は、子供達だけの洗い合いに混ざり、レナリアちゃんに背中をゴシゴシされている。 あれだけテンションの高かった5人も、タイルの上で転ぶのは危険だと理解しているようで大人しい。 何かめっちゃ楽しそうに喋ってはいるけど。
既に母親達とは別行動だ。 子供の時間は脱衣場から始まっていた。
にしても困ったな。 どうやら私くらいの子は他にいないらしく、自分で体を洗って良いものかが判断できない。 洗ってもらっているのはイチゴ髪ちゃんと私くらいなもので、他の5人は雑だが自分で洗っていたし、背中を任せ合ってもいた。 ……石鹸で手を洗うのは家で習ったし、もう真似っこのフリしてやっちゃおうかな。
背中からタオルが離れる。
「もういいかなぁ。 エメルナちゃん、ちょっと立っててね〜」
と、いきなり脇腹を掴まれ、持ち上げられた。 泡で転ばないよう意識しながら立ち待ちしていると、それまで座っていた木製の椅子がカタカタと音をたてる。
「はい座って〜」
「?」
言われるままに腰を下ろす。 と、
ムニ。
「……ぁっ!」
レナリアちゃんの体温と柔らかさがお尻と背中に伝わり、両足がタイルから浮いた。
「ちょ?! これっ!!」
思わず日本語で叫びかける。
「は〜い大人しくしましょうね〜」
そのままタオルで作った泡を持った両手が背後から回され、レナリアちゃんに包み込まれた。
「ヒャうっ!」
「あっははは! 可愛い声出たね、くすぐったかった?」
反射的に前屈みになる私の前半身を、アワアワな手が容赦無く洗い始めた。
「ひゅいぃぃぃぃ〜」
もちろんこの世界に生まれて1年と少し、前を洗われるのは両親で慣れている。
この擽ったさと自分で拭けないもどかしさは克服済みだ。
けどこれはダメだって! 色々と!
風呂場で少女の膝の上に座った挙げ句、密着して全身ワシャワシャ洗われるとか……
傍から見ればお姉ちゃんしてる微笑ましい光景なのに!
かといって暴れて止めるわけにもいかず……と全身を強張らせて目を瞑っていると、レナリアちゃんの吐息が耳の真横にまで接近し、左腕でお腹の上をがっつりホールドされ、
ズボッ。
そのまま流れるようにして、右手が閉じていた股へと突っ込まれた。
「ぁっ………」
女児で良かった……本当に。
「はい、終わったよ!」
「ハァハァハァ……」
頭上のシャワーが止まり、全身から洗い落とした泡が、排水口へと流れていく。 そんな足元を見下ろしながら、私は足を広げた棒立ちのまま、激しく肩で息をしていた。
…………疲れた。 心臓も肺も。 精神的にも。
全身アワアワにされた後は、もちろんシャワーでもう一周する訳で。 素手で、隅々まで。 指先に何度も擦られて……
過呼吸になるとこだった。 いやなってたかも。
私を洗いながら器用に自分も済ませていたレナリアちゃんが、固く絞ったハーフタオルを頭に巻き終え、私の頭にもターバンみたいに巻いてくれる。
こっちの世界に来てからはあまり見掛けない、黄色い幾何学模様が入っていて可愛いやつだ。 これならお風呂にタオルを入れたり、間違えて持ち帰る心配も無いね。
あれ?
ちょうどいい力加減と湿り気でキュッと締められた頭をポンポンされ、またしても膝の上に座らされる。
モニモニと両手をマッサージしながらも、体はシャワー中の7人に向いていて。 どうやら皆を待っているらしい。
「………………」
「…………」
(お姉ちゃん)
((ん?))
話し掛けるでもなく静かに見守るレナリアちゃんを見上げ、私はこれ幸いとお姉ちゃんへ話しかけた。
(女性ってお風呂で髪纏めてるイメージあるあるなんだけど、私くらいの長さでもするものなの?)
アニメや漫画でも偶に見る、お団子に丸めてお風呂入ってるのやら、風呂上がりにタオルをターバン風に巻いていたりするアレ。
ネットで検索すると『体を洗ってる石鹸で髪が傷むから』『せっかく綺麗にシャンプーした髪をお風呂で汚すのを予防するため』『抜け毛やリンスでお風呂が汚れるの予防』『髪が長いと体に張り付いたりして不衛生に見えるから』とか色々あった。 けど……
今の私はまだショートヘア。 要る?
これは元男ならではの感覚なのかな?
(むしろ熱や湿気が籠もって頭皮が蒸れそう、とか逆上せそうな感じがしてて……)
今だって、シャワーの温かさそのままなタオルを被ってるのはちょっと……乾燥してるならまだしも。
((ん〜……まぁ、色々あるけれど。 そうだなぁ、周りを見てみて?))
(? ……あ)
男湯ほどの心恥ずかしさが無いとは言え、倫理的に……となるべく目を逸らしてきたが。 ちゃんと見渡してみれば、皆していた。
シャワー中の人以外は。 入浴中の人達も歩いてる人も、老いも若いも、頭にはタオルターバン。
タオルを体に巻いている人も、頭にはもう1枚使ってのタオルターバンである。 なんなら髪を結ってるだけな人の方が見当たらないくらいで。
流行ってる……ってのとも、何か違う気がする。
((ちなみに、こっちじゃ男湯も皆タオル巻いてると思うよ))
(えっ、あっ! ヘルメット代わり?!)
((そっ、正解。 むしろそっちがメインだね))
ピンポ〜ン♪と頭の中で効果音が鳴り、説明されていない謎の1点がいきなり加点された。
たかが転倒と侮ってはいけない。 タイルに後頭部を打ち付けるというのは、自分の体重ほどの鈍器で殴られるようなものだ。 もしかしたら首で遠心力が発生してそれ以上の衝撃も。
もちろんタオルがあろうと死ぬほど痛い。 が、無くて死ぬよりはうんと良い。
そのためのタオルターバンが、何らかの流れで定着したのだろう。 手軽・安全・清潔。 そりゃぁ真似するわな。
皆がしていれば、子供の「イヤッ!」も減るだろう。
てことならば私も、多少湿っぽくても我慢しようじゃないか。
何よりタオルターバンには、前世で少し憧れていたのだ。 今の私なら絶対可愛いし似合う。 入浴中にってのは想定外だったけれど、理に適ってるなら文句は無い。
イチゴ髪ちゃんのタオルターバンをケンくんがキュッと巻き終えたタイミングで、レナリアちゃんが私と一緒に立ち上がった。
「よし! それじゃあ行こっか!」
頭をポンポンしたケンくん兄妹も、タオル巻き競争をしていた5人も、待ってましたとばかりに会話を中断して立ち上がる。
と、ちゃんと椅子も足元にもシャワーをして、泡を流し始めた。 ふざけて友達を狙う子すらいない。
え、なに? この子らどんな教育されてきたの?
このくらいの歳の子って、普通どんなに注意しても、面白いからってだけで危険なことやっちゃうもんじゃないの?
競争するでもなく、指示があった訳でもない。 自主的にそうしている。
と、ケンくんが持っているシャワーをイチゴ髪ちゃんにも持たせた。
「使い終わったら、こうやって綺麗にしてから離れるんだぞ」
「うゆ!」
うゆ?
独特な返事でお兄ちゃんの持つシャワーを一緒に握り、泡を排水口へと追いやり終わると、椅子も整えて、イチゴ髪ちゃんは嬉しそうにケンくんへ「できた!」と報告した。
「うん、ありがと。 次からは、シャワーはレナ姉ちゃんに手伝ってもらおうな」
「うゆ!」
「エメルナちゃんはお◯ん◯んあるの〜?」
言うやいなや股に突っ込まれる小さく柔らかい手に、動揺と羞恥から「ふぇえぇ〜」と声が漏れる。
さっきの感心を返してほしい。
比較的空いていた木製の浴槽へと足を入れ、縁の段差に腰掛ける。 そんなイチゴ髪ちゃんと私を挟むように、レナリアちゃんとケンくん、そして5人の子供が肩まで入浴したタイミングでのイチゴ髪ちゃんの第一声がこれだった。
その股間を弄る右手は私の何を探してるのかな?!?
私達よりもう一段下で浸かっていたレナリアちゃんが、可愛いものを見たように笑む。
「無いよ〜、女の子なんだからぁ」
「そっかぁ」
絶妙に残念そうなの何で?
「ち◯ち◯触りたいんなら、ほら!」
と今度は肩まで浸かっていた男の子の1人が立ち上がり、イチゴ髪ちゃんの近くで仁王立ちした。
私の股間から手を抜いたイチゴ髪ちゃんが、両手で片方のボールに手を伸ばし、
「ムニムニィ〜♪」
嬉しそうに手触りを楽しみ始める。 私の真横で。
……マジかこの子ら。
私なんて真横に立たれて平常心でいられないんですが。
ケンくんもレナリアちゃんも止めようとしないし、なんなら女の子が1人「私も〜」と近付いてきた。
性欲が無いって、こういう事を言うんだろうか……
2人の女児にそれぞれをマッサージ?遊ばれ?てる男児の姿はなんともシュールで。
そんな3人を唖然と眺めていると、レナリアちゃんに頬をつんつんされる。
「エメルナちゃんも触ってみたいの?」
!?
ここだけ流暢に「え? 嫌だけど?」なんて即答できる筈もなく。 つい動揺から「ぁの……ぇっと」と口ごもってしまう。
「良いよ!」
すると会話が聞こえていたのか、男の子からOKが出た。
次いで女の子に「ここ柔らかいよ〜」と触ってる場所を譲られる。
と、レナリアちゃんに左手首を掴まれ。
「ほら!」
グッと前へ引かれ……
って待って待って待って待って!!!
イヤイヤ期って何歳からだっけ? とか、性別を意識するのっていつから? とか答えの出ない思考ばかりがぐるぐる巡り。
その間にも男の子に迫る私の左手。
しかして子供の善意で舗装された一本道に逃げ場は無く。
ムニ。
ぁ……
懐かしの手触りを掌が包みこんだ。
お母さん達も次々と同じ浴槽に合流し、一気に人口密度が高くなってきた頃。 私とイチゴ髪ちゃんを除いた7人は、お湯から肩を出さない・頭を沈めないのルールで、浴槽の端から端までを競争していた。 勿論マナーとしては駄目だろうが、走れないし、他のお客さん達も子供だからと微笑ましそうに見守ってくれている。
あの後すぐ、イチゴ髪ちゃんが揉み欲を満たしてくれたので、私も一緒に解放されたのだけれど。 本当にただ触りたかっただけらしく、あれ以降下ネタな遊びは一切無い。
少しホッとしている。 ケンくんと離れるのが残念な理由がち◯こじゃなくて。
けれど、
「…………」
ふとフラッシュバックする度に、お風呂の中でこっそり手を擦っていた。 あの感触がなかなか消えてくれなくてね。
何で女湯にまで来てそんなの触る流れになってるの。 知ってるよ。 私も持ってたもん。
「それは、慣れるしかないんじゃないかなぁ」
と、子供達が賑わう中、お母さんと話していたレナリアちゃんのお母さんが、難しそうにそう応えているのが耳に届いた。
お母さん達は当然だが段差には腰掛けず、私とイチゴ髪ちゃんの近くで温まっている。
6歳になり、ケンくんが女湯に来れなくなる。 そう落ち込むレナリアちゃんが切っ掛けな今回の銭湯。
可能ならなんとか……出来るのかな?
お母さんは何か思い付いてそうだったけれど。
レナリアちゃんのお母さんが瞼を下ろす。
「私の時はもっと小さかったかなぁ。 いつものお兄ちゃんが来なくなって探してたら、もう来ないよって聞かされて。 銭湯で仲良いのお兄ちゃんだけだったから、男湯に行きたい!って泣いてた」
「ハハッ、あるあるですよね~」
昔を懐かしむ2人。
前世の私にはそんな経験無かったけど、ここくらい賑わっていれば違ったのかな。
「その時は『仕方ないから』としか言われなくてね。 でも詳しく説明されてても、納得は出来なかったんじゃないかな」
確かに。
例えばあの子達。 触ることも触られることにも躊躇いの無いあの子達に、男だから女だからと説明したところで、『だから?』って顔しそう。
「それはそうなんですけれどね。 ただ、寂しく終わるだけじゃつまらないじゃないですか。 ここでしか会えないのなら尚更」
え?
ここでしか会えない。 そう聞こえてハッとする。
こっちじゃ前世みたいな小学校が無い。 その代わりに子供達は6歳になると、親の職場でお手伝いをするようになる。
で、私はレナリアちゃん達は普段から遊んでいる友達なんだと思っていた。 けどもしかすると、実際には銭湯でしか会えない集まりなのかも。
思えば、私のご近所でケンくんとイチゴ髪ちゃんは見掛けなかった。 あの5人だって多分だけど初顔だ。
だとするとケンくんがお手伝いをするようになったら、銭湯に来る時間だってズレる可能性も。
男湯女湯どころじゃない、ますます会えなくなる。 そのまま疎遠になったっておかしくない。
レナリアちゃんがそこまで心配していたかは知りようがないけれど……
お母さんはもう、ケンくんのお母さんから聞いているのだろうか。
何かアイデアが浮かんでいるのだろうか。
私の背後で足音が止まる。
「何だ、先を越されたか」
振り向くと、そこには褐色肌のダークエルフ。
シア先生が来た。
なるべくR18な表現にはならないよう注意しましたが、アウトなら修正します。
批評感想・評価いただけると助かります。
本当にどうしよう……就職できてなくて。
更新も遅れに遅れるし……
お願いします。 感想・評価ください。
知名度が足りないだけだなんて自惚れていません、悪いところ直せるよう努力しますので。
次は……就職できてれば更新出来ると思います。
じゃなきゃスマホ無くなるので




