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僕だということ
目を逸らしても、現実はそこにある。
結局は逃げられないものなのだ。
それなのに僕は、淋しさに囚われて……、情けないというよりも憐れとすら言える。
哀れとすら言えるほどであったのだ。
自分でだってそうは思っていた。
何かの所為にして、そうでなければいられない。
それを哀れと言えなくてどう言おう。
僕なんて、僕なんてそんなものであった。
許せないのは、果てには君の所為にまでしていることであった。
逃げる、逃げる僕を、僕は見ていられなかった。
「君の帰りを待つ」
信じてもいないくせして、期待などしていないくせして、その言葉で僕は甘えるのだ。
酒を飲んで、酒に溺れて、現実から逃げるのだ。
本当は、僕は酒には強くないくせに。
転がる酒瓶を見て、笑えて来る。
少しも僕は酔えていなかった。
いつから僕はこうも酒豪となっていたことだろう。
いいや、酔っているのかもしれないな。
酔いやすい僕は、春の夜に、酒に君に、酔い潰れていた。