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400文字の話

この日の一瞬の夕焼けはー400文字以内で描くー

作者: 八木愛里

帰り道。ビルの谷間から見えた夕焼けに、一瞬にして目を奪われた。


雲に紫の光が差して、空は形容しがたい赤紫色に染め上がっている。


暑い中でも頑張っている自分へのご褒美のようだ。


思い出したように、鞄からスマホを取り出す。


撮影ボタンを押そうとしたら、画面上からは撮ろうとした景色がなくなっていた。


「もう、なくなっちゃった……」


肉眼で確かめてみるが、スマホを取り出したほんの数秒でさっきの夕焼けはどこかへ消えていた。


遅かったか……と落胆するけれど、あの一瞬でしか出会えなかった貴重な一時だったのではないかと感じた。


雲が移ろいゆくように、時間も流れゆく。

止まることは、ない。


もうこの時間は二度と帰ってないのだと深く実感させられた。


この瞬間を大事にしなくてはという気持ちを胸に抱き締めて、帰り道への一歩を踏み出した。


カメラに収めた景色を見て、自分の目で見た方がよかった……と思うこともある、と己を慰めながら……。

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