24時間営業のスーパー銭湯
狭いワゴン車の中は
悪臭が漂っていた
タバコの匂い、土の匂い、汗の匂い
その悪臭に一週間も風呂に入ってない
私の体臭等かき消された
しばらくするとワゴン車は
工事現場にたどり着く
そこで私の仕事は
足場つなぎをA地点からB地点へ運ぶ
と言った簡単な作業だった
足場つなぎがなんなのか
この時は知らなかったし
誰も教えてくれなかった
午前中はその作業だけで終わった
腹ペコで作業して倒れそうだった
やっとお昼だ
ほか弁のノリ弁当とぬるいお茶を渡された
私はその弁当を夢中になって食べた
それはそれは美味しい弁当だった
急いで食べ過ぎ少しむせる
お茶を飲み落ち着かせる
午後からの仕事はゴミ集めだった
工事現場を回りゴミを集めてはゴミ箱へ
それが終わるとまた現場を回りゴミ集め
初日はそんな感じで
よくわからないまま1日が終わった
これでお金が貰えるのか?
少し不安になる
作業が終わりまたワゴン車に乗せられる
朝の駅前に到着すると
1人の男性がカバンを持って待っていた
その男性から名前を聞かれ
答えると茶封筒を渡された
茶封筒にはカタカナで
私の名前が書いてある
中身はもちろん賃金である
4500円だった
お金以外にペラペラの明細書が入っていて
そこには弁当代-500円と
5000円と書いてあった
作業内容によって賃金は違う様だ
初めて働き得た収入である
この時は今も鮮明に覚えている
少し歩いた何処に24時間営業のスーパー銭湯がある
ここは入浴料千円でお風呂入り放題
翌日の朝まで居ても大丈夫な銭湯だった
二階にはシアタールームがあり
そこでマットと毛布があり
眠れる様になっている
私は早速そこに行き
一週間ぶりの風呂に入る
少し高いが銭湯内で飲食店もあり
色んな物が食べられる
あまり贅沢はできないので
1番安いたこ焼きを晩ご飯にした
その日はそのままそこで寝て
翌日の朝またワゴン車で現場へ向かう
少し余裕があれば
仕事は休んでスーパー銭湯内で
映画を見ていた
そんな日々が二週間程続いた
ある日現場のオッさんが
話しているのを聞いたのだが
工事現場の寮があるらしい
私でも入れるのか聞くと
入れるとのことだった
より詳しく聞いて
その寮に住むことにするのだが
これが失敗だった