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不幸の中の幸福  作者: みずかがみ
4月7日現在
8/39

狭いワゴン車

翌日の朝になった

さあ、自殺しよう

そんな高いテンションではないが

他に道もなかった

死ぬしかない

冷やし中華の容器を

ベンチの下から取り出し

淡々と死ぬ準備をする

早くしないと子供連れの家族が来て

何かと厄介な事になる


ニコチンは抽出されたみたいで

水は茶色く濁り匂いはドブの匂いだった

これを飲むのか?飲めるのか?

飲めないから死ぬのか!

色んなことを考え飲まない理由も考え

死ぬことから逃げようとしていた


しかし時間もない

気合いを入れて一気にドブ臭い水を飲む

一気に飲むつもりが、ゴクンゴクッ

一口飲んで身体が拒絶したのか

吐き出してしまった

ゴホゴホむせる喉が焼けた様に痛い

これは無理だとても飲めない

それはそうだ死ぬ飲み物が

ゴクゴク飲めるはずもなく

錆びたカッターの次の自殺も未遂に終わる


これからどうしよう

どうやって死のう?

吐き出し汚くよごれた身体のまま

しばらく考えていた


私を現実に引き戻したのは

子供の声だった

もうお昼か?ひどく汚い格好だ

公園で顔を洗いトイレで着替え

洗濯はしてないけど

こキレイな服装になった


2度も死にぞこなうとは恥だな

そう考えながら荷物をまとめ

ハンカチは水で洗い

ゴミはゴミ箱に捨て

違う公園へ歩きはじめた


歩きながら考えた

やはりあの日雇い労働しか

生きる道はないよな

明日の朝並んでみよう

断られたらそれまでだ


僅かな生きる道を考え

その日も夜まで繁華街を徘徊する

もう一週間も風呂に入ってない


翌日の朝

今日も作業着のオッさん達が並んでいる

その後ろにGパンにTシャツの小僧が1人

明らかに場違いである

しばらくするとワゴン車が来た

車に乗る前に名前と昼飯を聞かれる

システムらしいがよくわからない


前の人と同じように名前を言うと

「初めてか?年は?」無愛想に聞かれた

正直に「16歳」と答えると

昼飯を食べるか聞かれた

お金がなかったので

ここも正直に「お金がないです」

と答えると無愛想なオッさんがニヤリと笑い

「天引きだから大丈夫」と言うが

私には意味がわからない

何かわからないけど大丈夫らしい

じゃあ食べますと答えると

早く車へ乗れとジェスチャーする

何処へ行くのか?何をするのか?されるのか?

わからない不安と空腹に

久しぶりにドキドキしていた

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