煙草
公園のベンチで一晩明かし起きてみると
昨日から何も食べてないことに気付く
空腹で目覚めた感じだ
公園の出口の先にコンビニが見える
しかしコンビニで買い物する程お金がない
だがここは繁華街の少しはずれ
近くにスーパーもない
仕方ないのでコンビニで
1つだけパンを買う
出来るだけ大きなパン
飲み物は公園の水飲み場の水
2日にパン1つ
この生活が6日続いた
昼間は公園は子供連れで賑わうので
繁華街や駅周辺をぶらぶらと歩き
疲れたら違う公園で時折休み水を飲む
そんな生活の中たまたま駅周辺で
朝早くから作業着を着た男性達が
バス停の隣の何もない場所で
列を作っていたのを見る
そう言えば聞いた事がある
仕事が欲しい人はある場所に集まり
そこにワゴン車が来て
作業現場まで連れて行ってくれて
仕事をさせてくれる
もちろん賃金が貰える
日雇い労働者である
今は日雇い派遣等
登録すればスマホで簡単に予約出来るが
当時はまだポケベルの時代
日雇い労働者は世間からは
冷たい目で見られていた
場所も時間も分かったけど
こんなに若い私でも大丈夫なのか?
たぶん無理だろうな
この時は諦めも早かった
もう何もかもどうでも良かった
残り300円程度
どうするか考えてもいい答えは出ない
コンビニでなけなしのお金を使い
エコーと言うタバコを買った
1番安くて手持ちのお金で買えたので
それにしたもちろん吸う訳ではない
夜の公園は静かです
そんな静かになった公園のベンチで
カバンからハンドタオルのハンカチを取り出し
膝の上に広げ買ったタバコを
1つ1つ丁寧にほぐして中身をまとめていく
中学生の頃
完全自殺マニュアル
と言う本が流行った
この中に急性ニコチン中毒で
自殺が出来ることを覚えていた
もちろんやり方も
タバコをほぐし終わり
巾着みたいになったハンカチを持ち
ちょうどいい入れ物を探す
ニコチンは水に溶け出し易く
水につけて置けばニコチンが抽出出来るのだ
私はゴミ箱から
冷やし中華の入れ物を探し出す
汚くて臭かったので巾着ハンカチは
一度ベンチに置き
素手でその容器をゴシゴシと洗い
使える様に綺麗に洗った
確か一晩浸けておくだったな
そう考えながらゴミ箱から拾った
冷やし中華の容器に水を入れる
それを持ちベンチへ戻ると
ゆっくりと巾着ハンカチを水に沈める
よしよしここまでは準備出来た
後は一晩浸けておくだけだ
ゴミが入らない様に冷やし中華の容器の蓋をして
そのままベンチで横になる
明日の朝自殺しよう