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不幸の中の幸福  作者: みずかがみ
4月7日現在
7/39

煙草

公園のベンチで一晩明かし起きてみると

昨日から何も食べてないことに気付く

空腹で目覚めた感じだ

公園の出口の先にコンビニが見える

しかしコンビニで買い物する程お金がない

だがここは繁華街の少しはずれ

近くにスーパーもない

仕方ないのでコンビニで

1つだけパンを買う

出来るだけ大きなパン

飲み物は公園の水飲み場の水


2日にパン1つ

この生活が6日続いた

昼間は公園は子供連れで賑わうので

繁華街や駅周辺をぶらぶらと歩き

疲れたら違う公園で時折休み水を飲む

そんな生活の中たまたま駅周辺で

朝早くから作業着を着た男性達が

バス停の隣の何もない場所で

列を作っていたのを見る


そう言えば聞いた事がある

仕事が欲しい人はある場所に集まり

そこにワゴン車が来て

作業現場まで連れて行ってくれて

仕事をさせてくれる

もちろん賃金が貰える

日雇い労働者である


今は日雇い派遣等

登録すればスマホで簡単に予約出来るが

当時はまだポケベルの時代

日雇い労働者は世間からは

冷たい目で見られていた

場所も時間も分かったけど

こんなに若い私でも大丈夫なのか?

たぶん無理だろうな

この時は諦めも早かった

もう何もかもどうでも良かった


残り300円程度

どうするか考えてもいい答えは出ない

コンビニでなけなしのお金を使い

エコーと言うタバコを買った

1番安くて手持ちのお金で買えたので

それにしたもちろん吸う訳ではない


夜の公園は静かです

そんな静かになった公園のベンチで

カバンからハンドタオルのハンカチを取り出し

膝の上に広げ買ったタバコを

1つ1つ丁寧にほぐして中身をまとめていく


中学生の頃

完全自殺マニュアル

と言う本が流行った

この中に急性ニコチン中毒で

自殺が出来ることを覚えていた

もちろんやり方も


タバコをほぐし終わり

巾着みたいになったハンカチを持ち

ちょうどいい入れ物を探す

ニコチンは水に溶け出し易く

水につけて置けばニコチンが抽出出来るのだ


私はゴミ箱から

冷やし中華の入れ物を探し出す

汚くて臭かったので巾着ハンカチは

一度ベンチに置き

素手でその容器をゴシゴシと洗い

使える様に綺麗に洗った

確か一晩浸けておくだったな

そう考えながらゴミ箱から拾った

冷やし中華の容器に水を入れる

それを持ちベンチへ戻ると

ゆっくりと巾着ハンカチを水に沈める


よしよしここまでは準備出来た

後は一晩浸けておくだけだ

ゴミが入らない様に冷やし中華の容器の蓋をして

そのままベンチで横になる

明日の朝自殺しよう

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