ぶりっ子
やっと成就した私の恋は
嬉しさで爆発しそうだった
寮の部屋は恋人連れ込み禁止だったので
マユミさんの運転であちこちの
ラブホテルへ行った
ホテルでの行為よりも
私は一緒に居られる事が嬉しかった
あれだけお世話になった
店長夫妻のお誘いも多々断り
マユミさんとの時間が大切になっていた
今は後悔してます
もっと店長夫妻と過ごせば良かった
一応社内恋愛禁止という暗黙のルールがあり
2人は内緒で付き合い始めました
だんだんと天国だった寮で
過ごす時間も減っていた
あんなに感動した寮の食事も
食べなくなってしまった
あれほど嬉しかった布団で
眠る回数も少なくなっていった
もうマユミさんに夢中でした
真面目に必死になって
働いていたのが
朝までカラオケで飲んで歌い
そのまま仕事へ向かう事も多くあったり
とても真面目に働いているとは
言い難いものとなっていく
私とマユミさんのお給料は
2人で過ごす時間に消えていった
店長夫妻も私の変化に気付き
マユミさんとの付き合いも
簡単にバレていました
そんな時に新しい新人が入ってくる
若い女性でかなりぶりっ子している
女性には嫌われるタイプの人間だった
パチンコ屋の仕事で女性は
ホールとカウンターと言って
普通のスタッフとカウンター業務
景品の受け渡しをする事の
2つを覚えないといけない
マユミさんは先輩だったので
その新人の教育係になった
一方のぶりっ子新人は
マイペースで仕事の覚えも悪い
失敗しても謝らないし
ニヤニヤしていて真面目さがなかった
私が行かなくなって
マユミさんも行かなくて
店長夫妻も寂しかったのだろう
その新人と食事に行く事が増えた
私達は相変わらず
寮の外で愛し合った
このまま結婚してもいいとまで
私は考えていた
そんなある日
店長からマユミさんが呼び出された
なにか失敗したのか?心配しながらも
私は自分の仕事を続けた
しばらくして
マユミさんが目を真っ赤にして
事務所から出てきた
私は失敗して店長に怒られた
くらいに軽く考えていた
しかしそんな軽いものではなかった
新人ぶりっ子が私達が仲良いのに気付き
マユミさんに聞いて来たらしい
「2人は付き合ってるんですか?」
マユミさんは内緒だけど
実は付き合っている秘密だよ
と話してしまったらしい
それが1番の失敗だった
その新人ぶりっ子が店長に話してしまい
気付いてはいたが
新人に示しがつかない
この職場を辞めるか
私と別れるかどちらかにする様に
怒られたと言うではないか
私は怒りましたが悪いのは私達
文句の1つも言えませんでした
マユミさんの選択は
私と別れずに退職を選びました
退職後は違うパチンコ屋で働き
少し遠い場所だったので
マユミさんも寮に入って
お互い寮生活となりました
マユミさんはわざわざ
私のところまで来てくれて
変わらず2人の時間を楽しみました
しかしそんな軽い遠距離恋愛は
長く続いてくれなかった




