第3話 新人記者と旦那さん
私とアルエさんは時代錯誤なお屋敷の中を歩いています、アルエさんが履くハイヒールが奏でる音が静かなお屋敷に響く。
其れにしても随分立派なお屋敷ですね…アルエさんの旦那さんってもしかしなくても凄い人ですか?
アルエさんは振り向かずに歩き続けながら答える
「まぁ…旦那は凄い奴だな……この屋敷も旦那が建てた物だしな」
すっ凄いですね…旦那さん
「そんな事ないぞ?旦那より凄い奴らなんか幾らでもいるさ…例えば『ヘタレ聖女』とか『黒の騎士』とかな」
なっ成る程…聞くだけなら旦那さんの方が凄そうですけど…と言うかアルエさん…此処って食堂ですよ?
「あぁ、旦那は大体此処に居るんだよ…此処で血か何かを飲みながら新聞を読んでいたりしてるさ」
……えっ?
血って……アルエさん⁉︎
そうアルエさんを呼ぶがアルエさんは呼ぶよりも早く食堂の扉を開き入って行ってしまった。
何だかとても嫌な予感がしてきました…私此処から生きて出れるでしょうか…?
仕方有りません…私も記者の端くれです多少の危険は覚悟していました…背中に冷汗を流しながら私はアルエさんの後を追い食堂の中に入っていきます。
食堂の中にはアルエさんと長いテーブルの1番高い壇上のテーブルに座っている何かを飲んでいる、大体20半ばのイケメンさんが居ました。
察するにあのイケメンさんがアルエさんの旦那さんでしょうか?
「あぁそうだ来訪者、私がアルエの夫で万国の偉大な吸血鬼 ドレイク・ブラッドだ」
……アルエさん?
「言っておくが旦那が言った言葉は本当だぞ」
えっ…でもアルエさん?アレですよ吸血鬼ってファンタジー…空想の種族ですよ?
何だか頭がこんがらがって来ました、残念美人さんのアルエさんの旦那さんが吸血鬼だ…だなんて、頭が可笑しくなりそうです。
「だっ…そうだ旦那、良かったな物語の人物になれて」
「ほざけ…其れで娘よ、お前は何しにこの屋敷に訪れた?いや……何者だ貴様」
ひっ⁉︎さっき迄流れていた冷汗がぶり返す様にまるでダムが決壊したかの様に大量の冷汗が背中を流れ、下着を失禁の所為で濡らしました……
ゴッと鈍い音が響き渡り、食堂を覆いかぶった恐ろしい雰囲気が一瞬で消え去り、何時の間にかドレイクさんの背後に居たアルエさんと、きっとアルエさんに殴られテーブルに突っ伏しているドレイクさんが居ました。