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百合園の誓い  作者: 川島
第三章ー百合園の敵対者ー
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7

 ふわりと悠子は、その世界に降り立った。

 一面が百合の花に覆われた世界。中央の水を循環させる人工的な噴水だけが、違和感を醸している。そんな世界。


「あ、悠ちゃん。遅かったね」


 そこにエルの姿があった。

 噴水の前に腰を下ろし、微笑む彼女。

 その姿を見付けた悠子は、


「ごめんなさい。ちょっとあの子のことを見送ってたら、遅れたわ」


 彼女の元に歩み寄り、どさっとその隣に腰を落とした。


「あの子……?」


 と首を傾げるエルに悠子は答える。


「サンドのことよ」


「ああ、あの妊婦の……」


 エルは納得して、そのまま言葉を続ける。


「でも、あまり仲良くしちゃダメだよ。人質に取られたりしたら厄介だし」


「ええ、それは分かってるわ。心配しないで、線引きはきちんとしてる」


「それならいいけど……」


 エルは少し心配そうに悠子を見る。

 その表情に悠子は思わず溜息をついた。


「大丈夫よ。私事で仲良くしてるわけでもないのに、人質に取られたくらいで判断を鈍らせるようなことはないわ。それに少し気になることがあるのよ」


 と悠子は言う。


「気になること?」


 悠子は頷き、先ほど見たことをエルに伝える。


「……さっき、サンドが転びそうになったのだけど、その時に母体を助ける為に彼女のお腹の子が魔力を発したの」


「!」


 それにエルは少し驚いた。


「……それは少し気になるね」


 ただ、その子に魔力があるだけならば『才能』で片付けることができるものの、魔力を発するのにはある程度の練習が必要になってくる。

 エルみたいな特殊な人間ですら自我のない胎児の頃では、魔力を解放することは出来ないだろう。

 

「魔力を使えるってことは、もう自我が芽生えてるってことだし、胎児の段階でそれって多分なんかあるのかも……」


 と言いながら、エルは悠子を横目に見る。


「まぁ、ただひとつ、魔法使いとしては天性の素質があることは確実だね」


「ええ、それは間違いないわね」


 悠子は同意し、頷いた。







 


 


 



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