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そのまま二人は仕事の話を進める。
「それで、殲滅チームは分かったけど、探索チームはどうするのですか?」
エルが渡された書類には敵を殲滅することに特化した剣士だけが記されている。
派剣協会の中でも選りすぐりの戦力だ。
しかし、それだけでは、どうにもならない。
このままではまた後手に回る事になる。
それを打破する為には、先手を取る必要がある。
つまり、こちらから攻めるということ。
だけど、その為には相手の情報を収集する必要が出てくるだろう。
でも、その殲滅チームの剣士の中には、そういうことを得意とする者は、ほとんどいない。
それではまた後手に回らざるを得ない。
それを避ける為に、魔導師協会は剣士に協力を要請した。それなのに、これでは剣士側の力を借りる意味がほとんどなくなる。
だからエルは言う。
「これも希望してはいたけど、後もう一つ。敵の探索も希望していたはず」
「分かってるわ。探索チームはもう動かしてる」
悠子は懐から一枚の写真を取り出した。それは念写によって描かれた人の顔。
「これは探索チームを率いてる男よ」
屈強な顔の男だ。
「これが探索のリーダーなの?」
見えないだろう。その男は、むしろ殲滅チームのリーダーに相応しいような容貌をしていた。
「ええ、似合わないけれど、能力は確かよ」
悠子は笑う。
「何せ、この私に悟らせない程の気配遮断能力を有している男よ」
それは派剣協会の街で悠子に差し向けられた殺し屋だ。そして、クロノの部下だった男である。
あの後、悠子を殺す事の出来なかった彼らは、クロノに見捨てられ、そのせいで派剣協会を追放され、路頭に迷うことになった。
そこを悠子が拾い上げた。
彼らの能力はとても高い。
あのまま使い潰されるのは、勿体ない逸材だ。
そして、それは正しい選択だった。
「それにもう敵の情報を掴んだみたいよ」
悠子の脳内に無数の情報が入ってきた。
「へえー、良い駒がいるんだね」
エルは笑う。
「ええ、とても使える部下よ」
「ふーん、それでその情報は?」
悠子は答える。
「敵の生存の有無と、それから何らかの研究施設の場所」
「!」
それはエルの想像を遥かに超える情報だった。
「それを得たみたいよ」
悠子は足を組み直す。
「ふふ、どうかしら。結構、使える子たちでしょう」
「うん。どうやら随分と凄い探索能力みたいだね」
そこでようやく悠子は一仕事を終えた。
悠子の仕事は出来るだけ剣士側の優位を示すことだ。
そして、それはもはや十分過ぎるほど示しただろう。
もうこれ以上は必要ない。
後は魔導師側と協力し、敵を討つだけだ。
(本当に嫌な仕事ね)
悠子は視線を落とし、心の底からそう思う。




