表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合園の誓い  作者: 川島
第二・五章〜百合園の同盟〜
60/96

1

 ーー悠子はワイシャツのボタンを下から順に止め、足先からスカートを腰の辺りまで持ち上げ、シャツの裾を入れて、その真横のチャックを閉める。


 そして、ワイシャツの襟にネクタイを通して胸元で結び、その上からスーツの上着を羽織る。


「終わったわ」


 悠子はカーテン越しのまま外の者に、着替えが完了したことを伝える。


「かしこまりました。それではカーテンを開けさせていただきます」


 左右にカーテンが開き、悠子の目の前にエプロンドレスとフリルの付いたカチューシャーーーつまりメイド姿の老婆の姿が見えた。恐らくは熟年のメイドなのだろう。背筋が真っ直ぐ伸びていた。


「おお、お似合いですよ。悠子サマ」


 老いたメイドは人懐っこい笑顔を悠子に向ける。


「これならお嬢様と肩を並べて歩いても違和感ないでしょう。ささっ、こちらへどうぞ」


 老婆は革のハイヒールを悠子の足元に差し出し、履くように促す。


「ありがとう」


 悠子は老メイドに誘われるままに革のハイヒールに足を入れた。


「少しヒールが高いのでお気を付けください」


「分かってるわ」


 悠子は頷き、革のハイヒールの中に踵まで収める。


「それでは悠子サマ、お嬢様がお待ちです。参りましょうか」


 静かな口調で老メイドは呟き、それに悠子は「ええ」と答えた。


 この部屋は試着室なのだろう。老メイドは重々しい扉を押して開き、廊下に出る。その後ろに悠子は着いていく。


 長く長い廊下だ。床には真紅のカーペットが奥の奥まで続き、壁には幾つもの模造刀や魔法具が飾られており、さらにその天井には絢爛豪華なシャンデリアが吊るされ、この通路を明るく照らしていた。


 まるで王城の通路のような絢爛な廊下だった。


(それにしても本当に大きい家ね、ここは)


 そのまましばらく老メイドの後ろに着いて、歩いているとその先に巨大な扉があるのが見えた。


「悠子サマ、こちらにお嬢様がいらっしゃいます」


 老メイドはその扉の前まで来ると立ち止まり、悠子の方を向き直る。


「ここが……、ここがあの子の……」


 どくんどくんと悠子の心臓の鼓動が高鳴る。それは緊張のせいだろう。


 悠子は胸を抑え、1度自らを落ち着かせる為に深呼吸をする。


 吸って吐いて、吸って吐いて、吸って吐いて、と。


 深呼吸する度に気持ちが安らいでいくことに悠子は気付いた。


「……ふぅ。じゃあ、行ってくるわね」


 悠子は一言メイドに声をかけ、そのメイドは深々と頭を下げた。


「それではお嬢様をよろしくおねがいします、悠子サマ」


 そして、悠子は重々しい目の前の扉を開き、その先に足を踏み入れた。


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ