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百合園の誓い  作者: 川島
第二章〜百合園の舞踏会 Ⅲ〜
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19

 エルは悠子の隣まで歩み寄る。


「……火葬? 悠ちゃんの部下、この騒ぎで死んじゃったんだね」


「ええ、死んじゃったわ」


 悠子は炎上する屍に視線を戻す。


「ねえ、エル。ひとつ聞いていい?」


 その悠子の問に、エルは首を傾げた。


「なあに?」


「彼らは殺されたのだけど、その犯人に心当たりはないかしら」


「ああ、それね。多分このひとたちを殺したのは、狐のお面を被った人だと思う」


「狐のお面?」


 エルは頷いた。


「うん、なんか安っぽい狐のお面なんだけど」


 一瞬、エルの手の中が炎上し、それが刹那に消える。すると、その手の中に1枚の四つ折りの紙が握られていた。それはエルの記憶の一部をその紙の中に念写する魔法だ。


「今、私の記憶の一部を焼き写したよ」


 エルは四つ折りの紙を開き、その中身を悠子に見せる。


「多分彼らを殺したのはこんなひとだと思う」


 そこに描かれていたのは、狐面の人だった。顔は分からないものの挙措や体型から察するに恐らく少女だろう。


「このお面……、どこかで」


 悠子はその紙に描かれたものと自らの記憶を照合し、その結果を口に出した。


「ああ、そういえばこのお面、文化祭の出店で売ってたわね」


 それに対してエルは大きく頷いた。


「うん、でも狐のお面ってセンスないよね! 私なら断然ハトのお面にするよ」


 その言葉に悠子は思い出す。そういえばこのお面は、他にも色々と種類があった。


「そうね。私はやっぱりネコかしら」


 エルはにやにやと笑う。


「へえ、悠ちゃん。猫ちゃんがいいんだ……、なんか意外かも」


 悠子は首を傾げる。


「そう?」


 エルは「うん!」と首肯する。


「だって悠ちゃんは、猫っていうよりは犬っぽいから」


「ふふ、そうね」


 悠子は思わず笑みを零す。


「そうかもしれないわね」


 そのまま彼女たちは、目の前の炎が燃え尽き、鎮火するまでのつかの間の二人きりの時間を謳歌するのだった。


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