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ーーー二人の戦いの側から離脱し、狐面の人間は木々の合間を縫うように駆ける。
落ちる木の葉を弾き、敷かれた落ち葉を踏み潰す。
速い。その速度はゆうに音速を超えていた。
しかし、それだけの速度を出してるにも関わらず周囲に対する被害は皆無。辺りの木々を薙ぐこともなく、砂埃すら巻き上げない。
まるで世界そのものがその存在を認識してないかのようだ。
狐面の者は学校に向かって光のように駆ける。
すると、その時だった。
どこからか無数の銀色の刃が狐面に襲い掛かる。
「!!」
突然の事だ。
不意打ちのようなその攻撃に狐面の者は対応に遅れた。
それは、派剣協会暗殺部隊という軍勢による攻撃だ。
主に神代悠子の為ならば死ぬことすらも厭わない(むしろ望んで死ぬ)という悠子の狂信者のみで形成された部隊である。
隠密活動を生業とし、悠子の命令のみで動く。悠子は今手を離せない状態のはず。悪魔の処理に駆られ、この騒動の黒幕を探す余裕はない。
故に彼らを散策に出したのだろう。
ザザザザザザッッッーーーと銀色の刃が狐面の彼女の皮膚を破き、肉を裂く。
威力が高く、彼女は吹き飛ばされ、敷かれた落ち葉の上に転がった。
そして、その顔を隠すために覆った仮面。
それも弾き飛ばされたのである。
「っ!」
彼らは一人一人の実力が派剣協会でも上位の実力者と言われている。
そんな連中の不意打ちだ。
避けるのすらも至難の業だろう。
顔を隠してた仮面を失い、その下の素顔が顕になった。
「貴様はーー」
暗殺部隊の1人が思わず驚嘆に声を発する。
何故ならその素顔。それは彼らにも見覚えがある顔だった。
「なるほど、貴様がもう一人の潜入者だったわけか」
それは確信を持った言葉。出店で売ってる狐面を被ってるからというだけでは、攻撃してくるはずはない。
恐らく彼女が黒幕の一人ということの調べは既に付いているのだろう。
その反応から察するにその正体までは気付いてなかったようだが、それも今相手に知られた。
「はぁ、ミスっちゃった」
彼女は呟いた。
彼女は起き上がり、髪をかきあげる。
それはこの学内で悠子とよく行動を共にしてる少女ーーー美波だ。
美波は狐面を広い、その表面に付着した砂埃を叩き落とす。
「こんなところでバレることは、計画には含まれてないのに、また後で」
その言葉が終わるよりも前に再び無数の刃が彼女の元に襲い掛かる。
「怒られる」
しかし、今度はその全てが弾き落とされた。
先程とは違い、今の美波は攻撃に備えている。
つまりもう不意打ちは通用しない。




