表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合園の誓い  作者: 川島
第二章〜百合園の舞踏会 Ⅲ〜
52/96

12

 アルは言う。


「そんなに嫌そうにせず、もっと仲良くしよう」


 エルは放出する純白の粒子の波を鞭のようにくねらせ、妄言を言うアルの頬を打った。


「いっーー」


 魔力の鞭に弾かれ、アルは吹き飛ばされる。


「アル!」


 それは肉眼では追えない速度の攻撃。先程までよりも更に力が大幅に上昇している。


 ただ、アルの腕をエルの魔力が喰らっただけ。それだけなのにここまで違うものなのか、とエルは思う。


 エルは元々最強だ。少なくとも今のアルを圧倒できる程度には強い。そんな彼女だが、さらに力が上がる。


 もはや悠子すらも軽く凌駕できるかもしれないほど。


 その事実がエルには、とても悲しいことだった。


「ーーたいな。いきなり酷いじゃないか」


 口の端から血を垂らし、アルは視線をエルに投げる。


「もうお前は死ね」


 再び魔力の鞭を振るう。


 既に肉眼では追えない速度だが、アルは純白の粒子を障壁に、エルの攻撃を防いだ。


 ほっ、とアルは息を吐く。先までエルから逃げ続けた時同様、アルはエルの攻撃を予想し、そこに純白の粒子の障壁を出し、何とか攻撃を防ぐ事に成功した。


 それはアルがエルの情報の全てを知ってるからこそ出来る芸当だった。


 エルの行動を読み、対処するには、エルの心理から攻撃手段、性格まで何もかもを知っておく必要がある。


 そして、エルの心理を怒りや敵意というものに誘導し、攻撃を単調にすることでようやくエルの動きを予測することが叶う。


 もちろん、攻撃が単調になったところで普通は避けることはできないだろう。


 エルの単調の攻撃に対応することが出来た時点でアルの力は既に人智を超えていた。


 しかし、エルの前ではもはやそれすらも無意味なことに成り下がっていた。


 エルの振るった純白の鞭が、豆腐でも崩すかのようにアルの障壁を壊し、アルの頬を打つ。


「なっ!?」

 

 それには思わずアルも驚いた。


 もはや策でどうにかなるレベルではない。


 次元が違う。違いすぎる。


 アルはエルの魔法を手に入れ、無限の魔力を扱えるようにはなった。


 しかし、その力をまだ完全に扱い切れてはいない。いや、完全に扱い切れたところで目の前の化け物には及ばないだろう。


 それほどの差が二人の間にはある。


 地に立ち、いくら背伸びをしたところで天には届かない。


 それと同じこと。


 吹き飛ぶアルに追い打ちをかけるように四方八方からエルの魔力が襲い掛かる。


「がっ!はっ」


 あまりにも一方的だ。


 それは闘いにもなっていない。そんな中、アルはエルには悟られないように微笑していた。


(ーーよかった。きちんと私の腕は馴染んでる)


 そして、エルの鞭を受けながらもアルは狐面の者を一瞥する。


 その視線に気付いた狐面は、こくりと頷き、すっと消えた。


 エルもそれには気付いてたものの気にせず、全ての鬱憤を晴らすかのようにアルに力を振るい続ける。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ