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百合園の誓い  作者: 川島
第二章〜百合園の舞踏会 Ⅲ〜
47/96

7

 ーー悪魔の跋扈する景色を窓下に眺め、神代悠久は大量に買った食べ物を消化しつつも言う。


「あれらを作るのに一体どれだけの罪のない人間が犠牲(いけにえ)になったんだろうな」


「さあのう」


 剣神の巫女は興味なさげに答え、もう冷え切ったたこ焼きを口の中に放り、咀嚼する。


 いつの間にか二人の口論も幕を引いていた。


 先程までは楽しい盛り上がりを見せていたこの学内が今では阿鼻叫喚の地獄絵図に変わった。


 混み合っていたこの教室も今では、二人しかいない。


 悪魔の群れが湧き出た直後、皆一斉に逃げ出した。


 当たり前だろう。


 こんな状況下でも動じず、優雅に食事を楽しむ彼らが異常なだけである。


 悠久は眼下の悪魔を見下ろし、その表情に嫌悪感を顕にする。


「百か二百は使われてるな」

 

 悪魔の製造に使われる人間は、一体につき五人程度だ。


 かつて悠子が潰した悪魔崇拝者の組織。そのアジトを調べた時に分かったことだ。


 もちろん、最低でも生贄が五人というだけで本当はもっと使われてるかもしれない。


 悪魔崇拝者の開発した悪魔の製造魔法は、生贄の人間の数だけ能力値が上がる。


 ただ、能力値が上がればその分制御も難しくなる為、悪魔崇拝者の組織でも最低数だけを使っていた。


 悪魔は単体でも基本性能は高い。


 つまり無理して強化する必要もなかったのだろう。


 だけど、今回は悠子やエルのいる。


 それなのに仕掛けてきた。余程、悪魔の性能に自身があるように伺える。


 だからどこまで能力値を上げてるのか。悠久には分からなかった。


 しかし、悠久にはそれ以上に気になることがあった。


 悪魔崇拝者の組織は悠子が完全に潰したはずだ。


 それなのに何故、あの悪魔が現れたのか。


 生き残りがいたのだろうか。いや、仮に生き残りがいたとしてもあの悪魔製造の魔法は使えないだろう。


 あの魔法を使うには大規模な儀式場と、生贄と、複数の魔法に長けた魔法使いの存在が不可欠だ。


 悪魔崇拝者の組織の幹部は全員悠子が殺した。


 剣神がその死体を確認したから絶対に間違いない。


 だから悪魔崇拝の残党がいたとしても、それは幹部にもなることができなかったいわば雑兵だけだろう。


 そんな連中だけで、これ程の魔法を使えるようになるとは思えなかった。


 そもそもこの魔法をあの組織が下の者にまで教えてるわけもないだろう。


 それが分からなかったからこそ二人は動かないのだろう。


 今悪魔の掃討に向えば、敵は雲隠れするだろう。


 それを避ける為にも二人は敵が尻尾を出すまではそこに待機しているのである。




 


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