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百合園の誓い  作者: 川島
第二章〜百合園の舞踏会 Ⅲ〜
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2

 ーー悠子は目を見開き、驚いていた。

 目の前の少女を追い詰め、拘束しようとした矢先の事だった。


 悠子の手が彼女の肩を掴み、そのまま地に伏せ、押え付けたその瞬間、

 少女は破裂した。


「なっ!?」


 爆発したのではなく、破裂したのである。

 しかも、不可解なことに血肉が飛び散ることもなく、まるで風船に針を突き刺したかのように突然破裂した。


 悠子を殺す為に爆発魔法を抱え、自爆テロ紛いのことをしてきた者は過去にもいる。

 だけど、これはそういう悠子に攻撃する為に命を使うという類のものではない。


(まさか、口封じ……?)


 その可能性が一番高いだろう。

 が、それも違うことはすぐに分かった。

 悠子の逡巡の隙を突き、それは悠子の体内を突き抜けた。


「く……!?」


 破裂した少女の体内に潜んでいたのか、それは悠子の腹部を貫く。


(な、にこれ……)


 それは荒縄のようなものだ。

 

(ロープ?)


 悠子の腹部に突き刺さすも、背中にまでは抜けてない。

 つまり貫通せずに悠子の腹部の中に荒縄の先が収まっていた。

 しかも、おかしいことに。

 何故か貫かれたのに痛みもない。


「っぐ」


 痛みはないものの、その縄に貫かれた途端、悠子は妙な脱力感に襲われた。


「こ、れは、まさか、封印魔法……?」


 悠子は腹部に刺さる縄に触れる。しかし、それには実態がないのか、触れることが出来ない。


 すると、悠子はそれにも気が付いた。

 自身の両腕両足に蔓のように縄が絡み付いてることにーー。


「なっ!?」


 これは少女の体内から伸びた縄ではない。

 元々、悠子の体内に潜んでいたのか。

 浮き上がるようにそれらは現れた。

 思わず、悠子は地に片膝を付く。

 凄絶な脱力感に苛まれ、立ってるのもやっとだ。


「こ、れは、六縄(ろくじょう)封印……!」


 悠子はその封印魔法を知っていた。

 かつて、街ひとつを大規模な儀式場にし、そこに住まう人々を生贄に、悪魔製造した組織があった。 その組織は悪魔崇拝者の集まりで、その長が悠子を封じる為に編み出し、使った魔法。

 

「な、ぜーー!?」


 悠子は体を震えさせる。


「どうして、この魔法がここに」


 その悪魔崇拝の組織は、悠子にとってのトラウマでもあった。

 何とかその組織を潰すに至ったものの、結局生贄になった人々は戻らない。

 一度、悪魔になった人間は、もはや死ぬより他に救いはない。

 だから悠子はその街の人間を皆殺しにした。

 その中には悠子の知り合いもいた。

 しかし、構わず皆殺しにした。

 それが三年前の出来事だった。


(ま、さか、生き残りがいたのーー!?)


 悠子は必死に体を奮い立たせる。


(だとしたらーー)


 そして、それは来る。

 突然、辺りに黒い霧が湧き上がり、大気中の魔素を取り込み、それは人の形を為していく。

 赤黒い肌に漆黒の髪。

 焦点の合わない眼球。

 言葉を話せないのか「ぁぁ」と、喉を鳴らす。

 自我を持たない異形の者が湧き上がった。


「やっぱりーー!」


 それは悪魔だ。

 人間を生贄に、作られる人口的な悪魔だ。


 悠子は縄に縛られながらも『血濡れの太刀』を構える。と、悠子の背後に声が降った。


「神代さんって案外ちょろいんですね。まさかこんなにも容易く計画通りにいくなんて」


 それは悠子にも聞き馴染みのある声。

 というより最近は、毎日のように聞いていた声である。


「これはあなたの仕業なの、六条さん」


 悠子の背後。そこにカナデは立っていた。


「うん。本当は私はやりたくはなかったけど、仕方ないよね」


 カナデは笑う。


「六分の五は、あなたを殺せって意思の方が強いから、おねがい。今ここで死んで」


 その直後、悠子の肩を鉛の弾丸が貫いた。


「っーー!!」

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