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ーー結果として、悠子の考えは正しかった。
広げた感知の網に、すぐさま不審な動きをする者の気配を捉えた。
(ビンゴ!)
悠子はフリルのカチューシャを外し、それをクラスメイトに押し付けた。
「ごめんなさい。ちょっと休憩をいただくわ」
「え、あ、はい……」
悠子はちらっと悠久に視線を送るが、彼はそれに気付かない。
(あのひとたち、ほんと、楽しみに来ただけみたいね)
息を吐き、悠子は教室を飛び出した。
(気配の大きさから察するに恐らく、女ね)
感知の網を広げつつも彼女は、周りの生徒たちの認識の網を潜るように廊下を駆け抜ける。
誰も悠子の存在には気付かない。
悠子が駆け抜ける際に生じる風だけが彼らの認識の網に引っかかる。
「きゃっ!」
悠子の齎した風が女生徒のスカートを揺らした。
「な、なに、今の風ーー」
それはには一切構うことなく、悠子は走る。
階段を飛び降り、昇降口に至り、
そこで悠子は靴を履き替え、そのまま外に出る。
外は相変わらずの賑わいだ。
校門の辺りから人の群れがずっと続いていた。
(ここまで来れば、後は)
悠子は人の群れの中に飛び込む。
(捕らえるだけね)
そして、視界に飛び込んで来た一人の少女の頭を掴み、そのまま周りの誰にも悟られることなく、悠子は跳び上がる。
「えっーー?」
いきなり感じた浮遊感に少女は、思わず素っ頓狂な声を出し、視線だけを動かした。
すると、その真横にーーそれを見た。
「こんにちわ」
微笑む悠子の顔。
「ーーーーーーっっ!!?」
少女は驚愕に目を見開いていた。
(な、んで、もうばれてーー)
その思考が巡る前に、少女はそこに落ちた。
「っぐ」
背を地に打ち付け、肺から空気が漏れた。
「さてと、ここまで跳べば大丈夫かしら」
仰向けに横たわる少女の前に悠子は立つ。
強い風に長い黒髪を揺らし、悠子は少女を俯瞰するように見ていた。
そこで彼女は、ようやく気付く。
ここが屋上だということに。
(まさか、ただ跳んだだけなのに、ここまでーー)
あまりの出来事に少女は、身を硬直させる。
「それじゃあ、話してもらいましょうか」
悠子は微笑む。
「あなた達の目的と、内通者についてを」




