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来たものは仕方ない。
悠子は、二人を窓際の席に案内する。
「こちらへどうぞ」
二人は、腕の中の食べ物を机上に置き、椅子に座る。
「持ち込むのは構わないけれど、一応ワンドリンク制だから」
「了解」と悠久は言い、机の真ん中に設置してるメニュー表を手に取り、めくる。
「なんだ、酒はねえのか」
「あるわけないでしょ」
「ちっ、つまんねえ店だな」
彼の勝手気ままな言動に、悠子の額に青筋が浮かぶ。
(追い出そうかしら)
「よし、俺は普通の紅茶でいいぜ」
悠久はメニュー表を閉じ、机の上に放る。
「お前は決まったか?」
そして、向かいの席に座る少女に目を向ける。
「儂にはオレンジジュースを持って参れ」
厳かな口調の彼女は、その外見通りの飲み物を頼む。
(飲むものは、見た目と同じなのね)
悠子は、いつも偉そうに構えてる彼女がオレンジジュースを飲む姿を想像し、「ふふっ」と思わず笑ってしまう。
「なんじゃ」
ぎろりと剣神は悠子を睥睨する。
「いや、なんでもないわ」
咄嗟に取り繕う悠子。
だけど、彼女の眼前の男は、豪快に笑いながらそれを言う。
「はははっ! 相変わらず子供っぽい奴だな! くくっ、悠子、てめえもまだガキなんだから少しはこいつ見習ってガキっぽくしやがれってんだ」
と、大笑いする悠久に剣神は、いつもの飄々とした態度ではなく、珍しく怒りを全面に押し出していた。
「よかろう、そこまで死に急ぐのならば儂が今ここでお主に引導を渡してやろうか」
「はんっ、ガキのままごとに付き合ってる暇はねえんだよ」
「また、ガキと言ったな。よろしい、表に出ろ。奴らを殺す前の肩慣らしに、お主を殺す」
「はんっ、お前なんぞには無理だな」
そんな二人の口喧嘩に悠子は、溜息をつく。
(また始まった。まあいいわ)
触らぬ神に祟なし、だ。
二人の揉め事に巻き込まれることは御免被りたい悠子は彼らのことを無視し、そのまま連絡係の元に行き、取ってきたオーダーを伝えた。
その間も二人は人目をはばかることなく、口喧嘩を続けていた。
(後で追い出しましょう)




