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百合園の誓い  作者: 川島
第二章ー百合園の舞踏会Ⅱー
32/96

5

 飛び出した美波と、入れ替わるように悠久と剣神は、そこに至る。

 この店に来るまでの間、さらに露店で食べ物を買ったのか。

 二人の腕の中にはパックに入ったたこ焼きや焼きそばが、聳えていた。

 

 そんな二人の来店を確かめると、悠子は彼らの元まで歩く。


「お義父様と巫女様。私は、この店には来るなと言ったはずだけど?」


「ふん、確かに来るなと言われたが、俺は行かないとは言ってねえよ」


 悠子は父の前で立ち止まり、言い返す。


「いいえ、言ったわ」


「俺が言ってねえつってんだから言ってねえんだよ」 


「お義父さま、相変わらずの鳥頭みたいね」


 悠子は腕を組み、義父を睨む。


「ふん、そういうお前は、随分とらしくない格好をしてるんだな。それは趣味か?」


 と、今一番触れられたくないことを悠久は容赦なく話題に持ち上げた。


「ぐっ…」


 メイド姿に突っこまれた悠子は、思わず言葉に詰まる。


「別に好んでこんな姿でいるわけないでしょう」


「ははっ、隠さなくてもいいんだぜ?」


 と否定する悠子の言葉を笑い飛ばす悠久。


 そんな二人のやり取りを傍らにいた老人口調の彼女が止める。


「親子喧嘩は後にせい。早う席まで案内してくれんかのう」


 ぴくぴくと今にも崩れそうな食べ物の塔を腕に抱いた彼女は、懇願するように言う。


「このままじゃ、これを落としてしまいそうじゃ」







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