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百合園の誓い  作者: 川島
第二章ー百合園の舞踏会Ⅱー
29/96

2

 翌日。

 その日は雲ひとつない快晴で、絶好の文化祭日和だった。

 温かい風に包まれながらも、悠子は通学路を行く。

 周りには大勢の生徒たちが、和気藹々と談笑に花を咲かせていた。

 

(それにしても随分と色めき立ってるわね)


 悠子は思う。

 そんなに文化祭を楽しみにしてたのだろうか。

 いつもの登校の風景が、この日ばかりは一段と盛り上がっていた。


「神代さん」


 悠子の背後から声が掛かる。

 それは悠子のクラスメイト。

 美波の声だ。


「おはよう」


 美波は悠子の隣まで足早に来る。

 

「今日は喫茶店、頑張ろうね」


 にこりと満面の笑顔で美波は言う。

 それは普段の彼女を知ってる者ならば誰もが思うだろう。

 

「美波さん、今度は何を企んでるのかしら」


 笑う美波を横目に、悠子は言う。

 それは当然の反応だ。

 普段の邪気の塊のような態度の美波が、今は邪気の無い笑顔を見せている。

 彼女がこういう風に笑うときは、いつも何かを企んでるときだ。


「べっつにー」


 と美波は答えた。

 言葉とは裏腹に、頬は緩んでいる。

 何かロクでもないようなことを企んでいるような顔だ。

 しかも、美波がそういう含み顔をする時、それは必ず悠子を困らせようとする時だけだ。

 悠子は呆れた様に溜息を吐く。


 いつものことと言えば、いつものことなのだが、こんな日くらいは普通に楽しめばいいのに、と悠子は思う。


「程々にね、美波さん」


「もう、しつこいなあ。だから何も企んではないって」


 と、強く否定はするものの、その口元には笑みが浮かんでいた。

 悠子はもう一度、深い溜息をついた。


(相変わらず嘘が下手ね)


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