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断崖絶壁の中に作られた舘。
隻眼隻腕の男に、その旨が伝えられる。
「ようやく全ての準備は整った」
それは彼が待ち望んでいた言葉。
「行こうか、ミツキ」
白銀の女は、白衣を翻し、廊下を歩く。
その後ろを、隻眼隻腕の男が辿る。
「はん、随分遅かったじゃねえか、待ちくたびれたぞ」
肩で風を切るように歩く男が嫌味を言う。
「女性の身支度は長いものだからね。それすらも待てないから君はモテないんだよ」
飄々とした態度で、答える彼女。
そんな彼女の嫌味に一切動じることなく、男は返す。
「身支度、ねえ。そんなボロ雑巾みたいな格好のどこに時間をかけてるんだか」
その女性の格好は、オシャレとは程遠いものだ。
しわくちゃの白衣に、ボロボロのジーンズ。
これから外出するのに、一切の化粧はなく、髪もボサボサだ。
とても身支度に時間をかけてるとは、思えない。
「そんなに熱のこもった目で見つめないでくれる?」
「は? 見つめてはねえよ」
「またまたあ」
意味ありげに笑う彼女に、男は心底、
(うぜぇ……)
と思い、黙る。
これ以上、彼女と話してると計画の前に疲れ切ってしまうだろう。
そしえ、そのまま二人は、その館を出立する。
向かう先は、異端の学舎。
剣魔高校である。




