春の訪れ
ちょっと最後ギャグ系になりました。炎尾好きな人ゴメンナサイ。
「どーもこんにちは~!神楽さんいらっしゃいますかー!」
「神楽!いるか?」
手紙を寄越したのはあんたらでしょうが。
「神楽さん桜ノ舞の準備してくれてたんですね!」
「他の春の妖精は集まってるわ。あとはあなただけ。」
ほら行って、と言うように背中を押す。
「あとはハクお願い。」
つまりはこいつらに説明しろということだ。これにはルールがあって、どの神社も同じ服を着て舞うこと、その季節の妖精達がいること、神がいること。さっさと桜ノ神木の方に歩いていく。ちなみに衣装は、白のベースに赤い縁取りの巫女服。舞うだけなので典型的な巫女服だ。あと、髪を少しだけとってひとつに結んだあと、そこに金のかんざしをさしている。
「じゃあ、この町に春を届けましょう。最も私の力が増す、春を。」
桜神様がゆっくりと告げる。それを合図に、春の妖精達が演奏する桜ノ舞が流れる。123。3のところで扇を開いて舞う。小さな頃から毎年躍り続けてきたので、桜神様から言われていた舞うことだけを考える、はできている。
「はい、ご苦労様。」
それを合図に、全てが止まる。時さえも止まっているかのように、シーンとした空気に、はらはらと桜の花びらが落ちてくる。私はいまだに目を閉じたまま。桜神様も、ハクも、春の妖精達も私が目を開くのを待っている。
「桜神様、行き渡ったようです。」
目を開く。すると、みんなが息を吐き出した。
「今年もお疲れさまでした、神楽さん。」
一番最後に来た春の妖精が私のそばに来る。実はこの子がリーダーだ。
「みんな、ごめんなさいね。私たちもうひとつ用事があって。帰ってもらっていい?」
桜神様がにこやかに尋ねた。春の妖精達が慌てて帰る準備を始めた。
「で、今度はあんたら、と。」
いつも通り黒い巫女服に着替えた私は、お茶を出しながらハクが面倒くさそうに言うのを聞く。
「すまないな。こちらにもいろいろあるのだ。」
豪石が言う。いやこちらにもいろいろあるよ……。
「じゃあとっとと用件済ませて帰れ。」
冷たく言い放つ。桜ノ舞躍ってこっちはかなり疲れている。明日学校だし。
「じゃあ簡単に言うけどよ、神楽なんでそんなに口数少ねぇんだ?俺はなんでもねぇけど炎尾がな、なんか隠してんじゃないかと思ってんだと。」
え……。ちょっと待って横の桜神様見るのすごく怖い。顔がものすごくひきつってるのが自分でもわかりながら横を向くと……。
うわなにあれ!殺気だしまくってる!目が怖い!
「ちょ、桜神様!」
やめてくださいよーっと目で懇願した。そしたらもとの顔に戻ったけど。
「安直に言えば容姿や感情を素直に出すことに対してのいじめ。私は、感情を出さないために喋らない。それだけ。」
「そうか。なんか悪いこと聞いちまったな……」
「でもさ……」
なにかいいかけた炎尾の頭を桜神様が思い切り殴った。そして、それを誰も止めず。まあ自業自得ってことで、炎尾はボコボコにされましたとさ。めでたしめでたし。
「めでたくなーい!」
「あ、もっと殴られたい?」
「ギャー!」




