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  作者: みょんみょん
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四季の巫女たち

今、私は大急ぎでたくさんの料理を作っている。できた料理からハク、桜神様、真人がそそくさと持っていく。今日は、この町の全ての巫女が集まる日だ。それぞれの神と、それに仕える者を連れてくる。つまりは、どの神社の巫女も、自分の仕える神と、自身と同じ……つまりハクなような者を連れてくる。大抵は獣だが。やっと全ての料理を作り終わった。そろそろ来る時間だろう。

「こんにちは~!」

複数の声が重なった。それと同時にひょっこりと顔を出した三人の巫女。この子達はとても友好的で、私も桜神様以上に気が許せるのだ。普段はしないような微笑みや、悲しいときには泣く、なんてこともこの三人相手ならできるのだ。

「いらっしゃい。今日はご飯たくさん作ったからね。ちゃんと食べていってよ?」

「本当?」

「わーい!」

「もう!二人とも食いしん坊すぎ。人様の神社なんだから少しは遠慮しようよ!」

私の言葉に、本当?と答えたのが冬の巫女、雪芽氷柱(ゆきめつらら。わーい!と答えたのが、秋の巫女、紅木楓あかぎかえで。二人に突っ込んだのが、夏の巫女、緑風蛍みどりかぜほたる。私は春の巫女。前にもいった通り、この町には四つの神社がある。それは全て季節に分かれていて、それぞれの季節が来たときには、その季節の妖精と一緒に季節をばらまくのだ。だから、冬でもこの神社は桜が咲いているし、夏でも雪芽神社は雪が降っている。そして、今は春。よほど協力な魔が出ない限り、主に私が魔を退治する。それは、私が春の巫女だから。春は、私の霊力が高まる季節。まあまだばらまいていないので町はまだ冬って感じだけど。


ちゃぶ台に移動した私たちは、わいわいご飯を食べながら報告をする。

「そういえば、まだ神楽は春をばらまかないの?」

「まだ春の妖精が来ていないのよね。だから、出来ないの。」

氷柱の質問に答えて、ご飯を食べる。早く食べないと他の巫女や神達に食べられてしまうからだ。

「じゃあ私たちはいってくるわね~!」

「では、私たちも。」

神や獣たちは別の部屋で報告しあうことになっている。

「じゃあ神楽。春になって神楽のしたことは?」

だいたいのことを手短に話す。全ての話を聞き終えた巫女たちは、

「へえ。桜神様でも狂うんだねぇ。」

蛍が驚いたように言う。そこで、ふと疑問がわく。

「ね、桜神様でも……って言ったよね?てことは、皆のとこも狂うの?」

「ほかのとこは知らないけど、うちは狂うよ。」

「うちも。」

どうやら皆のところも狂うらしい。

「雪神様なんてすごい怖いんだよ~!はっつけたような怖~い微笑み浮かべて氷の針とか大量に飛ばしてくるんだもん。」

氷柱が言う。

「うちの紅葉神もみじがみ)様も怖いよ~!思いっきりアハハハハハ!!って笑いながら追いかけてくるの。こないだ紅葉神様にいたずらした妖怪がボコボコにされてた。」

今度は楓。

「うちの風神様もだよ。前妖怪がね、なんで夏の神が風神なんだって聞いたんだって。風神様は爽やかな風が吹くからよって言ったんだって。そしたらその妖怪が、お前ちっとも爽やかじゃないけどねーって笑ったらしいのよ。そしたら風神様がね、すっごく爽やかな笑顔で笑ったのよ。そこからは私が見てたのよね。そしたらものすごい竜巻が吹いて妖怪ごと消し飛んじゃったらしいわ。」

なんかこんな妖怪知ってる。

「そいつの名前ってわかる?」

「たしか炎尾だったと思う。」

やはりあいつだった。

「でもこの中じゃ桜神様が一番怖いよね、普段にこにこしかしてないだけに。」

楓が呟く。その瞬間、ぎょっとした。

「そう。楓、あなたは桜神以外は皆いつも笑ってない、そう言いたいのね?」

楓がゆっくり後ろを振り向く。その次の瞬間には、楓の悲鳴が響き渡ることとなった。


「じゃあまたね!」

手を振って巫女たちは帰っていく。手を振り返して石段に背を向けると、上から手紙が二つ降ってきた。

「なになに?」

桜神様も横からのぞきこむ。次の瞬間、笑顔のまま、硬直した。一つは、明日春をまきに神社に来るという、春の妖精の手紙。もう一つは、明日また四人で来るという豪石達の手紙。この二つが揃うとかなり厄介な気が……。そこでハクが提案した。

「じゃあ二人はばらまいておけばいいじゃない。あいつらがきたら私が案内する。それでいいわよね?」

「でもあの人たちも一緒にいて失敗しない?」

私に訪ねてくる。私の答えはもちろん、

「なめないで下さい。この程度のことで失敗するようじゃ巫女失格ですよ。」

きっぱりと断言する。桜神様も納得したように頷いて、神社に入った。

明日もこれまた忙しくなりそうだなぁ。

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