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  作者: みょんみょん
1/7

桜木神社の巫女 神楽

「今日の授業はここまでな~。」

先生の号令で、教室から出る。校門まで歩いて走る。約束に間に合わないかもしれない…。


神社に戻ると、約束した相手はもう待っていた。

「ハク、ゴメン。」

そこで待っていた白狼は気にしていないというように首をふった。この白狼の名前はハク。ついでに私は桜木神楽。

『そんなことより着替えてらっしゃい。』

心にハクの声がする。巫女である私は、この神社の神様、桜神に仕える巫女。同じく桜神に仕えるハクは、心を通して私と会話ができる。さっと部屋に入ると、着替え出す。私の巫女服は黒がベース。黒いリボンに、黒い服。動きやすいように、ショートドレスのようになっていたのを横だけ切り裂いている。着替えて、ハクと地下に降りる。

『じゃあ、始めましょう。』

ゆっくりとしたテンポから少しはやくなりを繰り返す、神楽舞。扇子を持って、舞う。私たち二人は一週間に一度、神楽舞によって霊力を高めている。巫女にとって大事なのは霊力。これがなければ妖怪たちと戦うことができない。つまりはただの人間になる。別にすべての妖怪を倒すわけではない。たまに悩みを聞いてやったりするし、その存在を脅かすものがあれば守ってやる。それが私の仕事。

「これで、どう?」

『充分よ。というかあなたの声を聞いたの久しぶりねぇ。』

私は必要なとき以外しゃべらない。心の中を見透かされるのが怖いから。さとり妖怪とかならいいのだ。人の心を見慣れているから。ただ、私のことを理解できないものに話すのは気が引ける。いくら親友でも私のことを完全に理解できているなんてないのだから。それに、自分の容姿を見て怖がる人もいる。そんな感情を会話をすることで知りたくなかった。まあ完全な黒髪に、赤い眼なんて好きなんて言う人はいないだろうけど。

「姉ちゃ~ん!いる~!?」

弟の真人の声がする。上にあがると、真人が友達をつれて待っていた。

「家で遊びたいんだけど、いい?」

「どうぞ。」

私がこう言ったときは、お菓子などは食べていいと言うことになる。暇なときはハクと一緒にお茶を飲みながら日向ぼっこをする。そうそう色々起こることなんてそんなにあるわけな____

「神楽さん!み、みんなが魔に!特にうちのリーダーの人がみんなを守って動けないんです!」

妖怪。可愛らしい女の子の妖怪だ。

「……ハク。」

『あいよ』

ハクが神社に飛び込む。私も同様に飛び込む。神社の中にある小さな祠。前で一礼して私もハクも武器を取る。私は二つの扇子。一つは桜の模様で、もう一つは蝶の模様。ハクは、勾玉によって繋がれた鞭。鞭部分は電気のようになっている。それを首に巻き付けて戦う。

ハクが二メートルはありそうな大きな狼に変身する。それによじ登ると、ハクがものすごい勢いで走り出した。もう慣れているけど。

「あそこです!神楽さん、お願いします!」

ハクが魔に飛びかかる。その一瞬前に飛び降りて、妖怪達の前に魔からかばうようにして立つ。私の攻撃は便利で、全体攻撃も集中攻撃もできる。今回は集中攻撃でいいだろう。

「白蝶の舞。」

私が作った技だ。扇子を横に凪ぎ払うように一振りする。そこに白い蝶が群れて、ひらりと対象に向かって迫っていく。ハクが蝶に触れないように私のもとへ戻ってきた。魔に群れたところでそろそろいいだろう。扇子をトン、と閉じる。

ドーン!!

爆発音がして、耳がいたくなる。すべての蝶が、爆発した。だが、魔はこんなことでは倒せない。怯ませるにすぎないのだ。

「桜木流封魔陣」

魔の下の方に魔方陣が浮かぶ。それで押さえつけて、ハクの鞭が相手にあたり、感電させる。御札を自分のまわりに漂わせていた私は、御柱を出して、封印体制に入る。御柱で半分封印したあと、一気に御札を投げつけてフィニッシュ。魔は消え去った。後ろを振り向く。妖怪達が目に涙を浮かべて倒れている妖怪を心配そうに見つめていた。小さな子供の姿をした妖怪はわっと泣き出していたが別に死んだわけではない。

『また、厄介事が増えたとでも言う気?』

「……はぁ。」

仕方がない、という意味を込めて首をふる。妖怪に近づいてハクの背中に乗せると、他の妖怪たちに、

「預かっておくわ。帰って」

短く伝えたいことを伝えて背を向ける。

「ま、待ってください!私たちが迎えにいった方がいいんですか?」

その必要はないと、ひらひら手を振って今度こそハクと駆け出した。


「あ、真人の姉ちゃんお帰りなさい!」

真人の友達が迎えに来た。

「今日お泊まりしていいですか?」

明日はおやすみ。普段なら簡単に頷いているところだが、この妖怪のこともある。

「あ、姉ちゃん。何か妖怪でも連れて帰ったの?」

頷く。

「じゃあ僕ら寝室で遊ぶよ。姉ちゃんどうせその妖怪看病するんでしょ?この条件なら問題ないよね!」

姉のことをよく理解している弟だ。

「いいわよ」

真人達が寝室に入ったのを見届けて、妖怪をそっと寝かせる。祠まで行き、一礼して武器をもとの場所へ戻す。先程の場所へ戻り、もう一度礼をする。ちょっと寝室にお邪魔して布団を引っ張り出す。先程妖怪を寝かせた場所へ向かい、テーブルをハクにあげてもらう。今はもとの大きさに戻っている。布団を敷いて妖怪を寝かせた。ハクに妖怪を見ていてもらうことにして、私はお風呂に入る。


お風呂から上がった私は、その後もハクと代わる代わる妖怪の看病をした。あー。なんか眠くなってきた……。


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