慈しみの森
シンは目を覚ます。
昨日は…酒場に戻って…荷物の準備をして…封を開けてない酒を見つけたから、酒を飲んで……記憶がないな。
一回も空けてないやつだったから知らなかったが結構つよいやつだったみたいだな。…二日酔いにはなってないな。
天窓をみると丁度、日が昇り始めるのが見える。
悪くない時間帯に起きたな。床から体を動かし、ベッドの上のイリアを起こす為に声をかける。
「おい、起きろ」
声をかけるとすぐに目を覚ます。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう」
前日に準備した荷物を持ち、階段をに下りる。
キッチンで下ごしらえしているスフィニャに声をかける。
「行ってくる」
「わかったにゃ、どれぐらいかけるにゃ?」
「七日間は帰ってこないな。後、何か仕事はあるか?」
「これなんか、どうにゃ?」
内容が書かれた紙を渡す。
「毛皮十枚で七千で期間は受けてその日から十日間か。これ、受けるわ期間前には帰ってくる」
「わかったにゃ。くれぐれも気をつけるんだにゃ」
「ああ。まぁ、死なない程度に稼いでくる」
イリアを呼び、外にでる。
「ポータルのとこに行くぞ」
「ポー…タル?」
「そうか、知らないのか。まぁ、そうだな説明するより見たほうが分かりやすいな」
「わかりました」
裏路地をぬけ表通りをしばらく歩いていくと、白い色の壁が目立つ一つの建物に入る。
そこは一人の女性と五つのドアがあるだけの部屋だった。
シンは受付嬢に話かける。
「慈しみの森を頼む」
そう言って懐から出したカードを受付の女性に渡す。
「かしこまりました。では三号室をお使い下さい」
「後、コイツの分も登録を頼む」
「かしこまりました」
シンに質問をし、女性は魔道機に情報をいれていき。やがて、カードが一枚排出される。
そして事務的な態度でイリアにカードを渡す。
カードを受け取るとシンを見上げる。
「これは何ですか?」
「冒険者の身分証みたいなものだな。後、これがないとポータルが使えないからしっかり持ってろよ」
「わかりました。しっかりと持っておきます」
自分のリュックに大事そうにしまう。
「じゃぁ、行くぞ」
「はい」
「お気をつけて」
左から三つ目のドアを開け部屋に入る。
中々の広さがあるが、真ん中にある台座以外、調度品は何もない。
その台座に近づき水晶に触れと一瞬、水晶が赤く発光する。
「よし、いくぞ」
そう言ってドアを開けると、目に映るのはさっきの建物の中ではなく、森の木々だった。
「す、すごいです」
イリアの驚きの表情を見ながら昔を思い出す。
初めて来た時は俺もこんな感じだったな、懐かしいな。
「おい、いくぞ」
「あ、はい」
イリアは木々を掻き分けて進んでいくシンを必死の思いで追いかけていくが
シンが歩みを止める頃には息切れをしていた。
その様子を見て言う。
「…とりあえず、横になっていろ」
「だ、大丈夫…大丈夫です」
「いいから、横になっていろ」
そう言って横にさせる。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「イリア少し聞け。ここはな生死に関わる場所だ、お前が無理をした結果、最悪な状況に陥ることだってあるんだ」
「…はい」
「だから、体力は無駄に消費しない。疲れたら、余裕がある限り休む。わかったな」
「わかりました」
「後、お前は俺の主人という形になってるがそれは忘れろ。勿論、ある程度は聞いてもらうが。俺達はお互いの命を預けるパートナーだ。それを、忘れるなよ」
「パートナー…」
「ああ、しっかりと覚えておけ」
「はい」
イリアの体力が回復したのを見て、また、歩き始める。
しばらく歩くと少し開けた場所にでる。
「ここで、野営するぞ」
「わかりました」
近くから木々を集め木を組み。
それに、木の板と木の棒をこすりあわせ着火させる。
「す、すごいです」
「慣れだ慣れ。それに金があればこんな方法とらずに火結晶を使うしな」
とりあえず、冒険者の命の次に大事な自作の地図をみる。
もうすこし奥にいくかそこを拠点にしよう。
そこを中心に毛皮と素材を集めるとするか。
「とりあえず、今日の飯はこれだけだ」
そう言って色とりどりの果物を渡す。
「え?」
「ん、どうした?少ないか?少しぐらいならやるぞ」
「い、いえ、量は足りてます充分です。そうではなくて果物なんてリュックに入ってなかったような…」
自分も荷造りを手伝ったのだ。
果物が入っていた記憶はない、そもそも食料はなかった。
「ここに来るまで取ってたんだよ」
「歩いてる最中ですか?」
「ああ、そうだ」
全然、気づかなかった。
自分は必死でついていくことが精一杯だったのに…
「すごい…です」
「だからすごくねーよ、お前もちゃんと飯くって体力つくればできる様になるってか、なって貰わないと俺が困る」
「わ、わかりました、頑張ります」
「頼むぞ」
そう言うと、焚き火の中に黒い石をいれる。
「よし、寝るぞ」
「でも火を絶やさないでおかないと…」
「黒石を入れたから、とりあえず朝までは大丈夫だから、安心しろ」
「はい」
そう言うと寝ようとする。それを見てイリアは口を開く。
「あ、あの…その…」
「どうした?」
「お…お、お休みなさい」
「あぁ、お休み」




