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風呂と飯


酒場に入り、イリアに待っているように言いつけ自分の部屋で使わなくなった服を探す。

これは、でかすぎるな…下は短ズボンぐらいが丁度よさそうだな。

上はぶかぶかになりそうだが…これでいいか。


下に戻ると、イリアが言われた場所で立って待っている。

座ってればいいものを…


「おい、これ着てみろ」


そう言って服を渡す。

その様子を見ながら、コップを拭いていたスフィニャが口を開く。


「にゃぁ、にゃぁ先にお風呂に入れさせてあげるべきだとおもうにゃ」

「ん?」


言われてみると、汚いし、微かに匂う。

あの環境では風呂にもいれてもらえなかったのだろう。


「…風呂行くか」


服を持たせ、イリアを連れて公衆浴場に足を運ぶ。

着くとまたも興味深そうに周りを見る。


「どうした?」

「っ!!あの気になって」

「あんま、ふらふらするなよ。危ないからな」

「ご、ごめんなさい」


小銭を番台に渡し、中に入ろうとすると帳簿をめくっていた番台がイリアを見て、口を開く。


「ダークエルフかい」

「ああ、そうだが。入るとまずいかい?ばぁさん」

「いや、別に珍しいと思ってね、それだけさ」

「そうかい、なら良かった」


話は済んだようで、また帳簿をめくり始める


脱衣室でイリアと共に服を脱ぎ、風呂場に続くドアを開ける。


「うわぁ…」

「お、貸切状態だな」


イリアは少しだけ興奮しているようだ。


「おい、風呂入る前に体洗うぞ」


体を洗う用の湯が溜まっている場所に行く。

備え付けの石鹸をこすり体を洗い始める、イリアもシンをみて体を洗い始める。

桶で溜まっている湯を掬い体の泡を落としていく。

イリアも真似をする。

頭も同じように洗い、風呂場の湯に入る。


「くぁー」

「…」


何も言わないが、イリアも気持ちよさげな表情が顔に表れる。

とりあえず明日には慈しみの森で篭ろうとは考えている、月初めとはいえ、早いうちに家賃と生活費分は稼いで置きたい。

他にも考えることはあるが、今はやめておく。


「そろそろ出るぞ」


風呂を出て、着替えさせる。

イリアを見ると垢や汚れが落ちて綺麗になっている。


「大分綺麗になったな」

「えっ…あ、ありがとうございます」


残りの金で自分とイリアの分の牛乳を買う。番台に残りのお金を渡し、牛乳が入った壜を二本受け取る。


「ほら」

「いいん…ですか…?」

「景気づけだよ、乾杯するぞ」


おそるおそる受け取り、コップ同士を軽くぶつける。

小気味よい音が鳴る。

そして、腰に手をあてて一息に飲む。

イリアもシンの真似をし、腰に手をあてて一気に飲み干す。


「やるな」


シンは笑いながらイリアの頭をくしゃくしゃと撫でる。

頭に手が行く時、一瞬、怯えた顔になったが撫でられている最中は気持ち良さそうに目を細めていた。


公衆浴場をでる頃には日がくれていた。

飯をどうするかだな…金はもうねぇし…スフィニャの飯を喰わすのは…なぁ…どうしような、ツケにしてどっかで喰うか?

そんなことを考えていると知った顔が向こうから歩いてくる。


「あら、こんばんわ。シン」

「もう帰ってきてたのか、ニーニャ」

「少し前にね、この娘がマスターの言っていたダークエルフの娘ね、こんばんわ」

「…こ、こんばんわ」


シンの後ろに隠れながら、挨拶を返す。


「悪いんだが…飯、奢ってくれねぇか?」

「いきなりね、マスターのとこで食べないの?」

「俺はよくてイリアが駄目だろ」

「イリア?あ、その娘の名前ね…ま、まぁ確かにあの料理の味はね…」

「だろ。だから、すまんが頼む」

「しょうがないわね」


ニーニャについていき大衆食堂に入る。

王都の店とは違い人間ではなくても断られないのでよく獣人や亜人がよく利用する食堂だ。

かなり、賑わっており色んな人種が多い。

飯を注文しながら、これまでの事情を話す。


「そういうことだったの、何か悪いことしちゃったかもしれないわね」

「まぁ、終わったことを悔いてもしょうがない」


マッシュポテトを食べながら、言う。


「イリアも遠慮せずに喰え、これうまいぞ」

「それは普通、私の台詞でしょ…」

「まぁ、ちゃんと借りは返すから気にすんな」

「期待しておくわ、そういえばアルメロさんが探してたわよ。仕事を紹介したいって」

「アイツが?どうせ、またロクデモない仕事だろ」

「まぁ、そこは言えてるけど」

「会う気しねーわ。そもそも一番初めにアイツに受けた仕事あれだぞ、密輸だったんだぜ」

「私は運び屋のたぐいだったわね…」


顔を見合わせ互いにため息をつく。


「どっちにしろ、慈しみの森にしばらくイリアと篭るから受けれねーしな」

「ほんとにダークエルフと組むのね」

「まぁな、損を取り返さないとな。あぶく銭でもおしいしな、二十万っていう大金は」

「まぁ、気をつけてね」

「何だ、お前もダークエルフの逸話がどうこうあるって話か」

「それは、まぁ…ない訳じゃないけど。今、慈しみの森で深部に行った憲兵団が視察にいったきり帰ってきてないらしいから」

「深部に行くつもりはないが…まぁ、気をつけておこう」

「大丈夫だとは思うけど、一応ね」


やがて、食事をし終え。ニーニャに礼を言ってから二人は酒場に戻った。




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