装備
イリアを連れ、酒場をでる。
まずは装備を整えないといかんな、ダグラスのおっさんとこに行くか。
目的地に向かう途中に何人かに好奇の視線を感じたが気にせず目的地に進んでいく。
薄暗い路地を進んで行き、一つの店にはいる。
剣や鎧なのが飾られてる店内を進み、白髪交じりの男性に声をかける。
「よう、相変わらず客がいないな。ダグラス」
「ん…腹立つ声だと思ったらやっぱりシンか。最近の奴は大量生産の安いのを買うからな、おかげでさっぱりだ」
「だから、こうして買いにきてやるんだろ。俺が」
「お前さんが来たって利益なんかねぇよ。毎度毎度、限界まで値切りやがって」
「代わりに素材は全部ここで売ってやってんだろ、文句いうなよ」
「ったく、で、何だよ?素材でも売りにきたのか?」
「これの装備を一式くれ、中古でいい」
そう言って、イリアを指差す。
「ダークエルフじゃねぇか…一緒に連れてく気か?」
「色々と事情があるんだよ」
軽く事の発端を話すとダグラスは鼻で笑った。
「相変わらずだな」
「うるせーな、いいから早く持って来い」
笑いながら、店の奥に行く。
その間ずっとイリアは店内を興味深そうに見ていた。
鎧を指先で恐る恐るつついたり、使用用途の分からないものを触ったりしているイリアを見ていると、奥から重そうに抱えながらダグラスがもどってくる。
「これで、どうだ?」
そう言って、子供用の胸当てと鎖帷子を渡される。
それをシンは値定めする。
状態は悪くない、中古にしては良すぎるぐらいだ。
「いいじゃねぇか、ホントに中古か?」
「貴族のお坊ちゃまの奴だからな、新品同様だろ」
「なるほどね、納得だ。おい、イリアこっちこい」
呼ばれて、こっちにくる。
「どれ…」
イリアに鎧を試着させようとして、眉を潜める。
「帷子は無理だな。こんなにやせ細った体じゃ、胸当てが精々だ」
「なら、胸当てだけでいい」
「というより、こんな体で一緒に迷宮に連れていくのは無理があるぞ。途中でこの娘が倒れちまう」
「いきなり、連れてく訳ねーよ。まずは慈しみの森に連れてくんだよ」
「そこか…なら帷子はぬいておこう」
「武器もくれ」
「これで、いいか?」
そう言って宝石のついた、杖をわたす。
「杖じゃねーよ、ナイフとかにしろよ。使えないだろ」
「エルフ族が魔法を使えるんなら、ダークエルフも魔法を使えると思ったんだが、使えないのか?」
忘れていた、それは盲点だった。
魔術、魔法が使えるなら用途は増える。そういや、奴隷商も魔力がうんたら言っていた様な記憶もある。なら、使えるのか?
冒険者にとって魔術、魔法が使える奴は欲しい人材の一つだ。
イリアの方を振り返る。
「おい、イリア使えるか?魔法」
「つ、使えません…ご、ごめんなさい」
俯きながら、申し訳なさそうに言う。
「使えないってよ」
「エルフと違ってダークエルフは使えないのか?どれ嬢ちゃん、これ持ってみな」
そう言って杖をわたす。
「頭に浮んだ言葉を言ってみるんだ」
杖を握り締めるが、イリアの口から言葉は発せられない。
「浮ばないです…ごめんなさい」
そう言って、杖を返した。
「そうか」
受け取った杖を元の場所に戻し、ナイフを用意する。
「駄目みたいだな」
「ったく、期待させるなよ」
「ダークエルフは謎が多いしな。一度、学校か何かで教えを受けにいったほうがいいかもしれないぞ。エルフが魔法を使えてダークエルフが使えないってのも変な話だろうし」
「ダークエルフは嫌われてんだろ?教えをくれる奴なんていないだろ」
「確かにそうだな」
「まぁ、気が向いたら本でも漁ってみるわ。ほらよ、代金」
懐をさばくり、お金を渡す。
「一万ってどういうことだよ」
「それが全財産なんだよ、諦めろ」
「残りはツケな」
「言っとくが払わねーからな」
「はぁ…。代わりに素材持って来いよ」
「期待しときな」
そう言うとシンはイリアを連れ店をでる。
もう金がなくなったな…
帰り道を考えながら歩く。
コイツにもボロ服を着させたままで生活をさせるにはあんまりだろうし、イリアを見ながら考える。
俺の使わなくなった服を着させるか。大きいが何とかなるだろう。
後は仕事を貰わないとな。




