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エルフの奴隷


子供がいた。薄汚れた白い髪と褐色肌の女の子だ。

それ以外は他の奴隷と変わらず痩せこけており、怯えた顔をしている。

それより一番興味を持ったのは耳だ。長い。

長耳族のようにとかではない、人と同じ場所の耳が長いのだ。

この世界に来る前から名前は知っている有名な奴だ。


「エルフ…?」


そう呟いた瞬間。


「っ!!」


怯えるように頭を抑えてうずくまる。

昼の時の話が脳裏に蘇る。

エルフは一千万。


エルフは一千万だったよな、確か。そう言ってたよな。

間違いないはずだ。

何度も会話を思い出す。


「おい、コイツはいくらだ?」

「こちらですね」


そう言って檻の中を除く。


「ホントにこちらでございますか?」

「これだ」

「お客様は私の目に間違いなければ冒険者の方ですよね?」

「よく、わかったな当たりだ」

「…よろしいのですか?」

「買うとは決めていない値段を教えてくれ」

「二十万ほどでございますが」


その言葉を聞いた瞬間、勝利を確信した。

一千万のエルフがたった二十万で買えるんだ、買ったらこいつをどこかに売り払えばいい。

最低でも百万はいくだろ。

二十万で市民権が手に入るんだ、全然悪くない。

だが、疑問も浮かぶ。

エルフにしては安すぎるよな…


「ところで、何でコイツはこの値段なんだ」

「そ、そうですね…まず顔を見ていただければ分かるのですが、片目がないのですよ」

「除いてみると確かにない」

「後、ダークエルフですので…」

「エルフなんだろ?」

「それは、そうですが…」


よくわからんが、エルフのパチモンみたいなものか?

まぁ、天下のエルフ様には違いないだろ。


「これ、買った」

「……」


信じられないものを見る目つきでこっちを見てくる。


「なんだ?はやくしてくれ」

「あ、はい。わかりました」


エルフを檻から出す。

びくびくと怯えながらこちらに近づいてくる。


「奴隷印はどうします?」

「俺と同じのでいいだろ」


そう言って、右の包帯を解く。いつもはこうして隠している。


「これですと…魔力を持つ者を抑えることができませんが…」

「じゃぁ、抑えれる奴にしてくれ」

「十万かかりますが…」

「は?!」

「あぁ…いえ、今回はサービスして頂きます」


エルフをチラっと見て、そう言う。


「まぁ、タダならそれでいい早いとこやってくれ」

「…かしこまりました」


契約書をエルフに書かせ、いつのまにかいた魔術師がエルフに向かって嫌そうな顔で頭に手を乗せ何やら呟くとエルフの右手に奴隷印が浮かぶ。


「これで、終わりでございます」

「そうか、ありがとよ」


二十万を数え奴隷商に渡す。


「あの、返却は受け付けてませんが…よろしいのですか…?ほんとに?」

「返却する気はないから安心しろ」


エルフはおどおどしながら近づいてくる。

金のなる木だな、コイツは。売る手段なら奴隷以外にもあるだろう、片目がないぐらいだったら好事家なら買うだろ。

エルフに物を売らせればもの珍しさで買う客もでるかもしれないな。

運が向いてきた、賭けで勝った辺りから流れがきたのかもしれない。


「おい、こっちこい」


そう言ってエルフを抱きかかえる。


「あ」


一瞬、体が硬直したがそのまま為すがままになる。

信じられないものを見たような顔つきをした奴隷商にシンは店の入り口から見送られた。

アノマ街を歩くときも何人かが驚いた顔になるが、あまり気にはならなかった、大方エルフを連れ歩いていることに驚いているんだろ。

シンはそう思った。


やがて、酒場のドアの前に着く。

ドアの向こうから笑い声が聞こえる、何人かが来ているのだろう。

そいつらも、驚かしてやろう。

俺がエルフを手に入れたことに。


いきおいよく酒場のドアを開ける。

ドアを開けた主のシンに視線が集まる。


「何だ、シンかよ驚かせやがって」


虎耳の男が笑う。


「驚かせるなよ!」

「どうした、シン。また賭場ですったのか?」

「またかよはっはは」

「しょうがねぇ、奢ってやるよ今日は」


酒を飲み交わしている獣人達が次々に声を発する。


「どうしたにゃ、一体」


スフィニャの声でシンはニヤリと笑う。


「俺はエルフを手に入れた」


その言葉を聞いた瞬間、周りがどっと笑いだす。


「馬鹿言ってんじゃねーよ!」

「いくらすると思ってんだよ!」

「酒が入ってんのか?!」

「夢でも見たんだろ!!」


罵声や野次を受け流し、シンは店に響きわたる様に声をだす。


「はいってこい!!」



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