ダグラス
「仕事受けたみたいにゃね」
「ああ。見てたのかよ」
「気になったからにゃね」
厨房からスフィニャが現れ、シン達が使っている机の上に冷たいお茶を置く。
礼を言ってからお茶に口をつける。
「準備しないとな」
そう口に出し、イリアを一瞥し言う。
「行くぞ」
「はい!!私、着替えてきます」
そう言って二階にあがるイリアの後ろを姿を見送る。
「気をつけるんにゃよ」
「そら、迷宮だからな……あまりイリアを連れて行くのも気が進まないが、遅かれ早かれ行くしな。まぁ、いいだろう」
そう言ってお茶を飲み干す。
そのタイミングでイリアが二階から降りてくる。
「じゃぁ行くか」
「はい」
「飯は喰って帰るから、用意しなくていいからな」
「わかったにゃ」
そう言って外にでると暑い日差しがシン達を照らす。
「暑いなさっさと行くか」
「はい」
ローブを被り全身を隈なく隠しているイリアの格好は正直見るからに暑そうだ、長時間外にいたら暑さで倒れてしまってもおかしくない。
さっさと行くか。
そう思いダグラスの武器屋へ足を速める。
ダグラスの店に付く頃にはイリアはシンに背負われていた。
店に入り、ダグラスを見つける。
「悪いんだが水くれ」
「いきなりだな、おい」
そう言って背負われているイリアを見て、ちょっとまってろと言い残し部屋の奥にいく。
その間にイリアを降ろし近くにあった椅子に座らせる。
ぐったりとしている。
「ごめんなさい」
「次からは飲み物を所持しておくか」
ローブから顔を出し、少しでも熱がでるようにしている間にダグラスが水の入ったコップを持ってくる。
「ほら、レモンを絞って入れておいたぞ」
「悪いな」
それをイリアに飲ませる。
「ありがとうございます。ダグラスさん」
暑さで褐色肌の上からでも分かる程度に赤い。
「気をつけろよ」
「はい」
そして、シンのほうを振り向く。
「んで、何しに来たんだ?」
「迷宮に潜るからな、それようの装備を買いにきた」
「迷宮に潜るって、嬢ちゃんとか?」
「じゃなければ、連れて来ないだろ。ついでに聞きたいことがある」
「聞きたいこと?」
「呪術に関する装備ってのはあるのか?」
「悪いが売ってない。そもそも使える奴が少ないんだ、ある意味稀少の存在だぜ。誰か使える奴でもいんのか?」
「ほら」
イリアに視線を向けるシンを見て察したらしい。
「ダークエルフで呪術が使えるのか……すごいな。いや、ダークエルフだから使えるのか?」
「それは俺も知りたい。やっぱりないのか」
「ないな。てか、あまり呪術が使えるのを言わないほうがいいぞ、いいことにならんからな」
「らしいな、気をつけておくよ。後、イリアの装備を一新しておきたい」
「そうしておけ。装備の方は……お前はいいのか?」
「変えるほど痛んでないし、それに一応初迷宮だからなイリアは」
「なるほどな」
そう言って笑う。
「しかし、随分可愛がってるらしいじゃないか」
「は?」
「何せ、自分をパパって呼ばせてるって聞いたぜ。お前さんにそんな趣味があったとはな」
「ここまで話が届いてるのかよ」
仕方なく経緯を説明し誤解を解く。
「だろうな」
「だろうなって、分かってるなら言うなよ」
シンの疲れた言葉を聞いて豪快に笑った。
そして、ちょっと待ってろと言い残し奥の部屋に歩いていった。




