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酒場の複数人用のテーブルを借り、そこに座る。


「で、どんな内容なんだよその仕事とやらは?」

「簡単よ、仕事自体は簡単なのよ」

「……いいから言えよ」

「ドラゴンの鱗が欲しいかなーなんて、言ったら怒る?」


俺は無言で立ち上がる。


「ちょ、ちょちょっと待って!待ってよ!!何も生きてるドラゴンのじゃなくていいから!!落ちてる鱗でいいから」

「落ちてる鱗?」

「そう。落ちてる奴よ、落ちてる鱗でいいのよ」


慌ててた口調で捲くし立てる。


「私がとってきて欲しいドラゴンはね、イリトドラゴンだから!生きてる奴の鱗じゃなくていいの!」

「待てよ……落ちてる鱗が見つかる確立ぐらい、お前も知ってるだろ」


ドラゴンの鱗は滅多に剥がれない、それだけ丈夫なのだ。

鱗一枚でも相当な値段がつくし、鱗が使われている装備品は安いものでも一般的な冒険者の一年分の収入はある。

仮に落ちてるとしてもそのドラゴンの鱗を剥がす存在がいるということでどちらにせよ安全ではない。


「お前は俺があんな化け物と闘った奴がいるかもしれない場所には行きたくない」

「そこは、大丈夫よ。イリトドラゴンは鱗がある時期になると勝手に剥がれるドラゴンだから」

「勝手に剥がれる?脱皮すんのか?」

「新しい鱗に生え変わるのよ、ドラゴンの中でもイリトドラゴンだけ」

「それは、初めて聞いたな」

「長年の生態を調べ続けた成果よ。まぁ、最近知られたばっかりだから他のドラゴンでも生え変わるかもしれないけど……中々ね」

「命に関わるからか」


ドラゴンは気性が荒い、大方それを知るのに何人か死んでるだろうということは予想がついた。


「ま、そういうこと。でも、落ちてる鱗を取るだけなら……そんな危険じゃないでしょ?」

「簡単に言うが迷宮に入るだけでも、相当危険だからな……何枚、いるんだ?」

「一枚でいいのよ。一枚五十万……それと固定位置結晶なら一個はこっちが出すわ」

「それは、太っ腹だな」


固定位置結晶は売れば最低でも五十万はいく……それにできるなら一つは持っておきたい代物だ。

売れば報酬と合わせて百万……正直、悪くない。


「鱗を他に見つかった場合は?」

「私は一枚だけでいいから、いらないわ。一枚五万ぐらいで売れるから売ってみたらどう?」

「安いんだな」

「ドラゴンにしてはそこまでの硬さがないのよ、戦う相手にしては命がかかりすぎるし……危険は大きいけど見返りがすくないのよ」

「なるほどね」


聞いた限りの話じゃ悪くない、聞いた話は大抵よく聞こえるものだが。


「期限は?」

「四日まででお願い……失敗してもいいわ、結晶の代金も請求しないわ」

「俺に有利すぎないか?」

「そうでもしないと受けてくれないでしょ……もう誰も受けてくれないのよ」

「自業自得って奴だな。とりあえず、仕事はやらせてもらおう」

「ほんと!!」


アルメロの言葉に頷く。


「じゃぁ、お願い。結晶は……」


ごそごそとポケットをさばくり丸いガラスの中に小さな結晶が入ったものをシンに手渡す。


「はい。では宜しくー」


そして、そのまま手を振り外に出て行く。

やられた気がしないでもない、知らずのうちに固定位置結晶を握り締めていた。



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