奴隷
色とりどりの魔法石で明かりを灯すここはアズバルド国唯一の風俗街アノマ。
意味としては神々しく光るというアノンの別称らしいが、風俗街に別称とは言え神様の別称をつけるのはどうかと思うが。
名前負けはしておらず明るく眩しい。
客引きも声を張り上げ、路上をあるく人達を自分の店に連れて行こうとする。
馴染みの店にいこうと思ったが、普段より金があるせいで高級店にいくことも考える。
とりあえず、飯を腹にいれながら考えるという案を頭の中で出し。飯屋を探すことにする。
アノマは飯もうまい、精力がつくような食べ物や珍味が売られている。
せっかくだからすこし高い店を探してみる為、人ごみをかきわけながら進む。
「お兄さんお兄さん」
急に手を掴まれる
「ん?」
太った成金趣味っぽい服の男が手を掴んでいる。
「俺は先に飯を喰おうと思ってるから、後にしてくれ」
「おんなじゃないですよ、ヒヒヒ」
「じゃぁ、何だ?用がないなら…」
「ヒヒヒ、奴隷買いません?」
ここで、普段だったら断っているのだろうが、なまじ普段より大金を持っていたのと昼の会話を思い出し、ひやかしぐらいはしてみようと思った。
「見るだけだぞ」
「構いません構いません」
そして、人ごみを器用に進む奴隷商に着いていくと、建物についた。
「どうぞ」
「ああ」
男にドアを開けてもらい中に入ると、メイドの格好をしたうさぎの耳がついた女性が迎える。
…長耳族か、悪くない乳だな。
「いらっしゃいませ」
「このメイドは、いくらなんだ?」
「すみませんお客様、ニビットは売り物ではないので…」
「そうか、残念だ」
「すみません、ところでお客様はどういう用途の奴隷がよろしいでしょうか?」
「乳がでかいのがいいな」
買う気もないので適当に答える。
「それですと、こちらは」
案内されたのはメイドと同じ長耳族の女性だった。
「わるくないな、値段は?」
「こちらは、七百万ですね」
「そうか」
表面上は冷静を装っていたが、内心は絶句していた。
聞いていたのと実物をみるのはやはり違う。
この奴隷一人で七人の奴隷に市民権が貰えるのだ、そう考えるとやはり度肝を抜かれる。
「他には?」
「他でございましょうか…それですと…」
奴隷商に色々な奴隷を見せて貰うがどれも度肝を抜く金額だった。
やべ、あまりの金額の連続に足が震えてきやがった。
「これで終わりでございますね」
「そうか」
「何か気に入ったのはあったでしょうか?」
「これと言ってなかったな」
「そうでございますか」
「あぁ」
奴隷商が残念そうな顔をみせるがそれ以上にショックを受けていたのがシンだった。
価値観というもの壊された気がしないでもない。
ふと、思ったことがあった。
「一ついいか?」
「はい、何でしょう」
「安い奴隷はあるのか?」
「ありますが」
「それがみたい」
「かしこまりました、こちらへ」
ついていくと、地下の方に進んでいく。
獣のような臭いが鼻につく。
「足元にお気をつけ下さい」
「ああ」
やがて、檻が所狭しと置いてある場所につく。
ほとんどの檻に値札はついてない。
それにちらっとみる限り状態の良さそうな者がいない。
「あまり、状態がよくないな」
「はい、まぁ基本廃棄処分用ですからね」
「廃棄処分というと?」
「見世物として売られますね、闘技場の魔物のエサとか貴族のペットのエサとかでございますね」
「そうか」
檻の中にいるのは大体が虚ろな目をしており、ほとんどが痩せこけている。
「大体いくらぐらい何だ?」
「まぁ、一人辺り五十万ぐらいですかね」
「以外にするな」
「エサ代としての価値はありますから、ヒヒヒ」
何が面白いのかよく分からないが笑う奴隷商を見て、とりあえず適当に檻の中を除き始める。
これと言ってピンとくるものはない。
みすぼらしい格好ばかりだったが同じ奴隷だからと言って哀れみをかける程の余裕もこっちにはない。
明日はわが身だ。
そう思いながら入ってきた扉から一番遠くにあった最後の檻を除く。
「ん?」




