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目的の本


「これで、この図書館内を自由に歩き回ることができる。ただ、借りることはすまないができない」


そう言って頭を下げるメロウにシンは礼をいう。


「いや、入れるだけでも十分ありがたい。メモをとるのは大丈夫だよな?」

「ああ、メモなら大丈夫だ」

「なら、大丈夫だ」

「そうか、それならいいんだが。ところで、シンはどうする?私は数冊、今日読む本を探していこうと思っているんだが」

「調べたい内容の本を探そうと思ってる。終わったら合流でいいか?」

「わかった」


一旦メロウと別れ、念願の図書館の中を歩き回る、シン。

内容ごとに分けられた棚の本を何冊か手に取り軽く読んでいく。

奴隷時代に貴族から字を教えてもらったおかげで大体の本は読むことができる。

面白そうなのが何冊かはあったが、流石に借りることはできない。

入れただけでもありがたいが。


にしても……あまり詳しい本がないな。


ダークエルフに関する本は何冊かあったのだがどれも似た内容ばかりであった。

魔物に関する本棚から数冊、読んだのだがこれといった話はない。


どれも、ダークエルフは魔物の眷属である、アノン神が忌み嫌う存在などであり、イリアが使う道を消す力などの話は一切書かれていなかった。


変だな……

他の種族ですらどういう歴史かすら書かれているのに……どういう暮らしをしている種族かすらないなんて……

どういうことだ?


仕方なく近くを歩いていた初老の司書に声をかけた。


「ダークエルフに関する本が読みたいんだが、この棚以外に詳しい内容のやつはないか?」

「ダークエルフに関する本ですか……?」

「ああ」


ポケットの中から、宝石のついた小型の本のようなものを取り出し、ページをめくり始める。


「そうですね、ここにあるのが一般の人に公開されたものですね……これ以上になると禁書棚になってしまいますので」

「禁書棚?」

「はい。ここに収めることができない呪われた本や、発禁を受けた本などを納める場所です」

「俺じゃぁ、読めないってことか」


シンの言葉に申しわけなさそうな顔をする。


「すみません、一般の方には公開してませんので…申し訳ありません」

「そうか、ありがとな」


頭を一旦さげ、その場から立ち去る司書の後ろ姿をみる。


折角、ここに入れたのに……また、壁があるとはな。流石に予想していなかった。


頭を悩ませていると本を数冊抱きかかえたメロウがこちらに歩いてきた。


「どうだ?探してる内容の本は見つかったか?」

「目ぼしいのはあるんだが、一般に公開されていないらしい」

「一般に公開されていない?……禁書棚に置いてある訳か」

「ああ、よくわかったな。そういうことらしい」

「一体何の本を探しているんだ?」


ダークエルフについてと言い出しそうになったが、止める。

神官は魔物と同じようにダークエルフを嫌っている、メロウなら大丈夫かもしれないが話すのを止めておく。

一応もということもある。


「あー……魔物についてな、ちょっと知りたかったんだ。冒険者だしな」

「なるほど、だから禁書棚か……」

「ああ」


シンの言葉にメロウは納得するように頷いた。



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