友
「こんなに楽しく話せたのは久しぶりだな」
「そいつはよかった。こっちも面白い話が聞けてありがたい」
気づけば短い針が一周はするほどは喋っていた。
「すまないな、こんな時間まで話をして」
「いや、こっちも楽しめたから礼を言わせてくれ」
「そ、そうか。そう言ってもらえるとありがたい。私の周りにはあまり話せる相手がいなくてな」
「そうなのか。まぁ、俺でよければ付き合うぞ」
その言葉を聞いて考え込む顔をする。
「その、なんといえば……いや、あー」
「どうした?」
何かを言おうとしているが言葉にできないそんな表情だ。
「うーあー……言葉にしようとすると難しいな」
「急にどうした?」
「その、あれだ」
一旦、ゆっくりと息を吸い言葉を紡ぐ。
「私と……なんと言えば…あー…と、友達になってくれないか?」
恥ずかしそうだがシンの目を見てまっすぐ見て言う。
「だ、駄目か?」
反応のない、シンを見て心配そうな顔になる。
「いや、急に言われたからな……驚いた」
「す、すまんな。年も近そうだし、話も合ったから……できることなら友になりたいと思ってな」
「……そうか」
まさか、友達になってくれと言われるとは思ってもいなかったせいで、内心困惑する。
しかも、向こうは神官でこっちは奴隷。
隠しておいてバレてしまえば後々にどうなるか分からない。発覚した時に騙していたとして裁判なんてのもありえなくはない。
ここは正直に話しておいたほうがいいだろう、どちらにせよ図書館に入る方法は見つかっていないのだから。
そう考え、口を開く。
「その申し出はありがたいんだがな……俺は、ほら奴隷なんだよ」
そう言って右手の包帯を解き奴隷印を見せる。
しかし、メロウの表情は変わらない。
「シンは奴隷であっても私は気にしないぞ、奴隷だとしても私と友達になってほしい」
「本気で言ってるのか?」
「勿論だ。私は人が人を奴隷にするのは間違っている思っている。人と人には平等なはずだ」
まさか、奴隷でもいいと言われるとは思わなかった。
罵られることはなくても、黙ってその場を去るとは思っていた。
「神官が奴隷を友と言っていいのか?」
「人は平等だと私は思っている、アノン神の加護はみな平等のはずだ。なら、人が人を奴隷にするのは間違っていると……私は考えている」
自分の思いを告白するように言った。
それを見て思わず神官にもいい奴はいるんだなと感じた。
「奴隷の俺でいいなら友になってくれ」
そう言って手を差し出すと、その手をしっかりとメロウは握り嬉しそうな顔で言った。
「勿論だ」




