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会話


目の前で林檎を頬張る女性はハイリア メロウと名乗った。

苗字があることから貴族であるのが分かる。


しかも、神官様かよ。


言われてから気づいたのだが、確かにアノン神を信奉する神官の服を着ている。


どこかで見たことがる服だと思ったら、神官かよ……とんでもないのに話かけられたな。

こっちが奴隷とわかったら困るな。


神官達は奴隷を人間扱いをしていないからだ、例え人であっても、奴隷であれば人ではない。

奴隷はアノン神の加護は受けられないというのが神官達の考え方であり、この国の考え方でもある。


こっちが奴隷と知らない内はなごやかだが、奴隷と分かったときの様子が想像できてしまう。

侮蔑の目で何かを言われるだろう。

最悪、この敷地からも追い出される可能性がある……


施設所から敷地にさえ入れなくなったらどうしようもできない。


シンが悩んでいる、その間にハイリアはあっというまに林檎を完食し終えた。


「おいしかったよ、催促してしまったみたいで申し訳ない」

「さっきも言ったが安いやつだからな」

「それでもおいしかったよ、礼をいわせてくれ」


律儀に席を立ち深々と頭をさげる。

その様子をみて周りの人が何事かとこちらを見ているのが分かる。


「……周りが見てるから座ってくれないか」

「……失礼した」


本人も様子に気づいたらしく、恥ずかしそうにベンチに腰を下ろす。

その様子を見て悪い奴ではないのだろうとは思う。


「いやはや、すまない……」

「ああ」


可愛く咳払いをする。


「お礼をしなければな」

「いや、安売り一個の林檎でそんなこといわれも困る」


そう言って笑う。


「おいしい林檎の価値は何事にも勝るからな」

「それは言いすぎだろ」

「いや、そんなことはない。まずだな」


ハイリアの談義が始まり、シンは聞きに徹することにした。ハイリアの話はとてもうまく人を飽きさせないものだった。

しばらくの間、談笑しあった。


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