稼いだお金
ベッドの上で目が覚める。
部屋に入り倒れるようにベッドに入り込んだのは覚えている。
欠伸をしながら上半身だけ起こすと隣でイリアが寝ているのが目にはいった。
昨日のことを思い出し、すこし逡巡した。
起こさないように立ち上がり、一階に降りる。
「おはようさん」
欠伸をしながら、調理場のスフィニャにあいさつをする。
「おはようにゃ、凄い欠伸にゃね」
「疲れてたからな」
カウンターに座り、いつものようにサンドウィッチに齧りつき、渋い顔をする。
「まずいな」
「文句は言わないでほしいにゃ……おとうさん」
その言葉にシンの表情が変わる。
「……昨日のあれはやっぱり俺の聞き間違いじゃなかったか」
「間違いじゃないにゃ」
スフィニャの言葉に大きなため息をつく。
「俺、まだ嫁もいねーのに娘だけ先にできるとか…ありえねーよ…」
「諦めるしかないにゃね」
「まさか、パパって呼んでいいですか?って言われるとおもわねーだろ」
「それはにゃね」
「あぁー」
コップに入った水を飲み干し、ため息を吐く。
「おとうさんって呼ばせるのを止めにしたらどうにゃ?」
「今更すぎだろ…それに他の奴らに何言われるか…」
「確かににゃ、みんな気にいってたしにゃ」
「だろ」
考えても無駄なような気がする、おとなしくお父さんと呼ばれるべきか…?
「ま、まぁ、すっぱり諦めるにゃ」
「諦めれるか?」
二階から人が降りてくる音がしたので二人とも黙る。
昨日の姿のままのイリアが現れる。
「お、おはようございます、スフィニャさん」
「おはようにゃ」
スフィニャに挨拶をしてから、シンの方を向き緊張した面持ちで口を開く。
「お、お…おとうさん、おはよう」
「お、おう……おはよう」
挨拶を返して貰った瞬間、イリアの顔が笑顔になる。
嬉しそうにシンの隣に座る。
「あー、その…あれだ…イリアの朝飯、用意してやってくれ」
「はいにゃ」
「金は…」
そう言って、ポケットに手を入れるシン。
それを見てイリアがエプロンのポケットからお金をだす。
「お父さん、これ。昨日、みなさんがくれたお金」
そう言ってカウンターの上にお金を出し始める。
「そういや、貰ってたな。いくらだ」
次々とお金がイリアのポケットから出てくる。
「どんどんでるにゃ」
「あいつら、気前よすぎだろ」
最後のお札が出される。
「これで全部です」
「おお」
ちょっとした山が形成されていた。
「いくらだ、これ?」
「数えてみるにゃ」
「ああ」
小銭を分け、お札を数え始める。
「ひぃ、ふぅ、みぃ…」
「いち、に、さん…」
スフィニャとシンが数えるの眺めて待つイリア。
「二十四万だ」
「小銭は四万にゃ」
「合わせて……二十八万」
かなりの金額を貰っていたらしい。
「多いですか?」
「すごい多いにゃ」
「俺の一ヶ月の収入越えやがった、一日で」
絶句した顔のシンにイリアが言う。
「このお金、お父さんが使ってください」
突然の申し出に驚く。
「は!?いいのか?お前が貰ったお金だぞ」
「いいです。私、お金の使い方分からないですし……だから、お父さんが使ってください」
「あー…確かに有難いんだが…イリアが貰ったんだイリアが使え」
そう言ってお金を返した。
「で、でも」
イリアの表情を見て、察した。
「金の使い方が分からないなら教えてやる」
そう言って皮の袋に詰めてイリアにもたせ、言葉を続ける。
「しっかり貯めておけ、な。奴隷印が外してもらえるぐらいにな」
「……はい」
返事をしたイリアの頭を撫でてやると嬉しそうだが、少し寂しそうな顔をした。




