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価値


「これがなければ、少しはよくなるんだろうがな」


シンは右手の呪印を見る、奴隷印だ。

これがある限り市民権は貰えず、公共の施設はほとんど使えないのだ。

なし崩し的に仕事が限られる、脱走した奴隷のほとんどが山賊などの犯罪者かシンのような冒険者になっている。


「お互い大変ね」

「ニーニャ達程ではないけどな」


ニーニャは奴隷ではないが、獣人というせいで地位が奴隷よりも低いのだ。

このアズバルド国は宗教国家であり、唯一神アノンを信仰している国なのだが、自然をを愛し不浄なる存在を嫌うという伝説のせいか、人と獣が混ざった姿の獣人は迫害に会い地位が低いというのがある。

獣人はこの国では最下層に位置する。


「そういや、何か仕事ないのかよマスター」

「ソロでやるようなのはないにゃよ」

「シンもいい加減パーティーに入ったらどう?」

「遠慮しとく」

「どうして?」

「組むと取り分が減るだろ、それが嫌なんだ」

「けど、稼げる量も変わるじゃない」

「そうにゃ」

「全部、自分の稼ぎになるんだったら入ってもいいんだがな、分けないといけないだろ、それが嫌なんだ」

「あきれるにゃ」


スフィニャは肩をすくめ、流石のニーニャも苦笑する。


「まぁ、それなら奴隷しかないね」

「奴隷が奴隷を買うとか悪い冗談だろ」

「けど、奴隷なら稼ぎは全部、自分のものになるにゃ」


スフィニャが口を挟む。


「それは…悪くないな」

「まぁ、値段は結構するわよ」

「そうにゃ」

「いくらぐらいなんだ?」

「そこはピンからキリにゃね。冒険者の相方にするんにゃから、そこそこ強くないと駄目にゃしね。そうなると、百万が最低ラインにゃね」

「私達、獣人ならもっとするわよ五百万から始まるわ」

「一番安いので百万か、夢のまた夢だな。それに百万あったら奴隷印消せるじゃないか」

「正直、非現実的にゃよ」

「じゃぁ提案するなよ」

「ごめん、冗談で提案したのに喰いつくとは思わなかったから」

「ったく、そういや一番高いといくらぐらいなんだ?」

「一千万ぐらいにゃね、ほとんどエルフにゃ」

「いっせん…」


人間の奴隷の十倍だ。俺はいくらだったか気になってくる、百万だったのだろうか…もしかしたらピンからキリでいうならピンかもしれない…

自分の価値が疑問に思えてくる…

いかん、いかん、そんな考えをかき消す。


「ちょっと、ぶらつくわ。いい仕事あったらとっといてくれ」

「また、博打かにゃ?真面目が一番にゃよ」

「そういうのは家賃下げてから言え」


酒場からでる、スフィニャが言うように賭博場に足を運ぶ。

賭博上に行くまで色んな種族を視界にはいる。

人間が大半だがちらほら亜人や獣人も歩いている。

さっきの話を聞くとお金が歩いているような錯覚に陥るのも無理はない。

そんなことを考えながら歩いていると賭博場につき、物色する。


トランプにするか?いや、前に全財産すったし…ルーレットにするか?いや、それは確か一昨日負けたな。

…勝った記憶があんまりねぇ。


向こうのほうで魔物同士が戦っている映像が大きい水晶を写してみえる。

かなりのギャラリーがいて白熱している。


最後に来たときにはなかったやつだ。

新しいやつか…あれにするか。

出場する魔物のチケットを選ぶ、とりあえず首が二つある蛇を選ぶことにした。

スピアという名前らしい。

倍率は0.08だ。

こんなものだろう、とりあえずは負けなければいい。

試合はスピアが勝った、最後のモグラを丸呑みにするシーンは中々の迫力があった。

久しぶりの勝ちに気分をよくして、しばらくモンスターコロシアムをやり続けていた。


煙草を吹かしながら、賭博場から出る。

ついつい口角が上がる、久しぶりに勝って出ることができたのもあり喜びもひとしおだ。


月の収入分を稼いじまったわ、これだからやめられねぇ。

手元の財布を見ると、ペラペラだったはずの財布が膨らんでいる、思わず笑う笑ってしまう。

久しぶりに風俗街にいくのもいいな。


そう考え、足を風俗街方面に進める。



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